
メキシコの地域環境・動物保護団体が、米宇宙企業「スペースX」の宇宙船「スターシップ(Starship)」の爆発による絶滅危惧種への被害状況について「深刻なレベル」と警告した。
メキシコの非政府組織(NGO)「コニビオ・グローバル」のヘスス・エリアス・イバラ氏は「数百万個のロケット残骸がメキシコの海岸と海を汚染し、絶滅危惧のウミガメにも悪影響を及ぼしている」と主張したと、CNN(スペイン語版)やインフォバエ紙などが2日(現地時間)に報じた。
イバラ氏の所属団体は、先月18日に米テキサス州ボカチカにあるスペースXのロケット打ち上げ拠点「スターベース」で、スターシップが地上でのエンジン燃焼試験中に爆発した事故以降、メキシコ側の海岸500m区間から1トン以上の「ロケット残骸」を回収したと明らかにした。回収された残骸には、錆びた鉄材、スペースXのラベルが付いたアルミニウム片、青色接着剤などが含まれ、4m長のタンク状の物体も確認されたという。
昨年11月から米ボカチカ海岸から直線距離で約15km離れたメキシコ・タマウリパス州のバグダッド海岸を中心に、スペースXから排出された各種廃棄物の回収作業を行っているコニビオ・グローバルは、これまでに関連費用として2万6,000ドル(約374万881円)を支出したと付け加えた。
獣医でもあるイバラ氏は、特にメキシコ湾周辺に生息する絶滅危惧種のケンプヒメウミガメ(Kemp’s ridley turtle)の生態が危険にさらされていることを強調した。彼は「ロケットに関連する振動がウミガメの卵の孵化を妨げた」とし、「海岸の砂が固まることで結局孵化できなかった子ガメは少なくとも300匹に達する」と付け加えた。
イバラ氏はまた、大きなロケットの破片は除去されているものの、海岸周辺に埋まったごみは「大きな問題になる」とし、「ウミガメがごみの一部を摂取する可能性が非常に高い状況だ」と指摘した。
メキシコ政府も環境汚染の可能性を認識している。メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は先月25日の記者会見で「国境付近でのロケット発射過程で発生する事象について、国際法の枠組み内で提訴する方法を検討している」と述べた。
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