米国のドナルド・トランプ大統領が適用される相互関税率を明記した書簡に署名し、米国は12~15か国に関税書簡を7日(現地時間)に発送する。書簡の主な内容は、交渉が進展しなければ8月1日からトランプ政権が4月2日に定めた関税を課すというものだ。トランプ政権の側近たちは関税猶予に関する明確な立場を示さないまま、米国の貿易相手国に新たな交渉を迅速にまとめるよう圧力を強めている。
6日(現地時間)、トランプ大統領は米ニュージャージー州に向かうエアフォースワン機内で記者団との質疑応答で書簡の発送計画を明らかにした。ただし、書簡を発送する国名は公表しなかった。
これに関連し、トランプ大統領は「いくつかの書簡に署名し、月曜日ごろ発送される」と説明した。火曜日や水曜日に発送される国もあると付け加えた。当初4日に発送予定だった最初の書簡がやや遅れたことになる。また、トランプ大統領は「発送される書簡はおそらく12通程度、15通になる可能性もある」と簡潔に述べた。さらに「書簡には様々な金額の関税率が適用されている」と伝えた。
7月9日や8月1日に関税率が変更される可能性があるかとの質問に対し、トランプ大統領は「ほとんどの国との交渉を7月9日までに終えるだろう」とし、「書簡か交渉か」と答えた。この発言に対し、同席していたハワード・ラトニック米商務長官は「関税は8月1日から発効する」とし、「トランプ大統領は今まさに関税率と交渉を設定している」と説明した。
トランプ大統領とラトニック長官の発言は、4月2日に米国が一方的に発表した相互関税の猶予期限が終了する9日までに一部の国とは交渉をまとめられる可能性を示唆している。また、そうでない国には米国が貿易赤字や非関税障壁などを考慮して一方的に設定した関税率を書簡で通知し、相互関税発表後も貿易交渉を継続する意向を示している。ただし、関税の発効日を8月1日と定めたことから、特定の国が米国から関税率を明記した書簡を受け取っても、関税発効時点まで交渉を続ける余地を残したとみられる。
一方、トランプ政権の側近たちは関税課税の猶予期間が迫る中、相次いで交渉妥結を促している。同時に誠実に交渉し譲歩する国々には交渉スケジュールの調整も可能だとし、米国に最大限協力するよう求めている。米国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長はこの日CBSに出演し「貿易交渉には期限があるが、一部の国は期限を過ぎる可能性もあれば、そうでない可能性もある」と曖昧な説明をした。
トランプ政権の側近たちによる交渉妥結の圧力と懐柔は、日本や欧州連合(EU)など主要貿易相手国との度重なる交渉失敗が背景にあるとみられる。これに関連し、トランプ大統領の忍耐が限界に達したという海外メディアの報道も出ている。
過去の多くの貿易協定は数年にわたる交渉を経て締結されたが、EUとの交渉ではトランプ政権との貿易交渉で突破口を見出せずにいる。日本の場合も同様だ。また、米国とインドの貿易交渉は決裂した。関税から農産物輸入禁止などの非関税障壁に至るすべての分野の貿易協定を、定められた期間内にまとめることは極めて困難だからだ。
スコット・ベッセント米財務長官は、8月1日が米国と貿易相手国との交渉の新たな期限だという主張について確認を拒否した。また、関税猶予が終了する9日に何が起こるのかについても言及しなかった。ベッセント長官はこの日CNNに出演し「何が起こるのか見守る」とし、「戦略は公開しない」と述べた。ただし「米国といくつかの国が交渉妥結に近づいている」とし、大きな発表があると予想した。しかし彼もトランプ大統領同様、詳細は明らかにしなかった。
一方、トランプ政権は4月2日、各国に対する相互関税の方針を発表した。課税を開始した同月9日に貿易交渉のため関税を90日間猶予すると明らかにし、各国と個別に交渉を進めてきた。この猶予期間は9日に終了するが、トランプ大統領は関税率が最大70%まで上昇する可能性があると警告している。
しかしトランプ政権の威嚇とは裏腹に、米国と各国の交渉は停滞している。トランプ大統領と側近たちは数十か国と関税率を定める貿易交渉を進めているが、これまでに米国が貿易協定を締結した国は英国とベトナムのみだ。

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