
テスラのCEOイーロン・マスク氏とドナルド・トランプ大統領との対立が再燃したことを受け、米電気自動車(EV)関連株が7日(現地時間)のニューヨーク株式市場で一斉に下落した。
テスラは前日比6.79%安の293.94ドル(約4万2,963円)で取引を終えた。
これにより、テスラの時価総額は9,467億ドル(約138兆3,730億8,000万円)にまで縮小し、1兆ドル(約146兆1,636億円)の大台を割り込んだという。わずか1日で約680億ドル(約9兆9,380億7,320万円)が吹き飛んだことになる。
このほか、リヴィアンは2.45%、ルーシッドも2.31%下落した。
下落のきっかけは、マスク氏が5日に「アメリカ党」の新党設立を表明したことにある。これに対し、トランプ大統領は翌6日、「第3党の結成は無意味であり、混乱を招くだけだ」と厳しく批判し、両者の対立が再燃したことが市場に警戒感を与えたとみられる。

有名証券会社ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏は「マスク氏が政治にさらに深く関与することは、テスラの投資家や株主が望む方向とは正反対だ」と指摘した。
さらにアイブス氏は、「マスク氏がトランプ政権から距離を置いた際には、テスラの株主や熱心な支持者の間で一時的に安堵の声が広がったが、その安堵感は極めて短期間で消え、今回の新党創設の発表によって状況は最悪の方向に転じた」と述べ、マスク氏の政治的関与に反対の立場を示した。
さらに、、9月30日に期限を迎える7,500ドル(約109万5,805円)の税額控除措置の終了も、テスラ株の急落に拍車をかけた。
もともとテスラの前四半期における車両納入台数は、前年同期比で約14%減少しており、こうした状況下で税制優遇がなくなれば、テスラの販売はさらに落ち込むことが予想される。
加えて、トランプ政権による大規模な減税政策は、テスラの主な収益源の一つである「規制クレジット」の販売にも影響を及ぼす懸念がある。規制クレジットとは、環境汚染の削減に貢献した企業に対し政府が与えるインセンティブであり、テスラはこれを他社に販売することで多額の利益を得てきた。
テスラは2024年、この規制クレジットの販売だけで28億ドル(約4,091億940万円)の売上を計上していた。
こうした悪材料が重なり、テスラ株はこの日だけで約7%下落した。これにより、テスラ株は年初来で約30%下落している。
テスラの急落を受け、他の電気自動車関連銘柄も軒並み下落した。リヴィアンは2.45%安の12.75ドル(約1,862円)、ルーシッドも2.31%安の2.11ドル(約308円)で取引を終えた。

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