「人口世界一」の座をインドに明け渡した中国が、少子化と高齢化問題の対策として、子ども1人につき年間3,600元(約7万3,343円)の育児手当を支給することを決定した。
4日(現地時間)、英紙テレグラフなどの海外メディアによると、中国政府は今年から、3歳未満の子どもを対象に全国規模で育児補助金を支給する新たな制度を開始するという。一部の地方政府ではすでに育児手当が導入されているが、中央政府主導で全国一律に育児支援を行うのは今回が初めてとなる。
専門家は、中国政府がこのような育児手当政策を打ち出した背景に、急速に進行する少子化と高齢化に伴い、労働人口が減少する「人口の崖」問題への危機感があると分析している。労働力の縮小は経済成長の鈍化を招くだけでなく、増加する高齢者を支えるシステムの維持が困難になるとみられている。
中国は人口が急増していた1987年に「一人っ子政策」を導入した。その後、21世紀に入って出生率の低下と高齢化が進行したことから、2016年には「二人っ子政策」、さらに2021年には三人目の子どもも容認した。
これらの政策変更にもかかわらず、出生率の低下は止まらず、2022年から昨年まで3年連続で新生児数は毎年1,000万人を下回っている。総人口も3年連続で減少している。
その間にインドが中国を抜き、世界最多の人口大国となった。今後も少子高齢化が続けば、中国の総人口は2050年には13億人まで減少し、2100年には8億人を下回るとの予測も出ている。
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