
前任者(ジョー・バイデン前大統領)のウクライナ武器支援の約束を何度も揺るがしてきた米国のドナルド・トランプ大統領が、今年就任以来初めてウクライナへの新規支援を検討している。中東紛争を一旦収束させたトランプ大統領は、ロシアが「戯言」を繰り返し、ウクライナの終戦に協力しないと強く非難した。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は8日(現地時間)、2人の政府関係者の話として、トランプ大統領がウクライナに新たなパトリオット・ミサイルを送る案を検討していると報じた。パトリオットは米国の中長距離・地対空ミサイルシステムで、韓国を含む世界各地の米軍基地に配備され、敵のミサイルや空襲を防いでいる。パトリオット・ミサイルは2~3基のミサイル発射台、レーダー、指揮統制所などで構成される。
米国防省の元関係者はWSJを通じ、現在ウクライナに配備されているパトリオット・ミサイルは7基だと主張した。このうち3基は米国が、3基はドイツが提供し、残りの1基は複数の欧州諸国が共同で用意した。ロシアの無人機(ドローン)やミサイル攻撃に悩まされているウクライナは、これまでも米国など西側諸国にパトリオット・ミサイルの支援を繰り返し要請してきた。
関係者によると、ホワイトハウスは国防省にパトリオット・ミサイルを含むウクライナへの追加武器支援の可能性を打診したという。トランプ政権は米国以外の国がウクライナにパトリオットを提供できるかどうかも確認している。
WSJは最近、中東紛争を含む世界的なパトリオット需要の高まりにより、在庫確保が難しくなっていると指摘した。英紙ガーディアンは8日の報道で、米軍が最近の中東地域での作戦のため、国防省計画上必要なパトリオット・ミサイル在庫の25%しか保有していないと伝えた。ただし、WSJが接触した関係者は、米陸軍が調達命令を出せば、数量不足にもかかわらずウクライナに送るパトリオットを確保できるとの見方を示した。
トランプ大統領は今年就任以来、前任のジョー・バイデン前大統領が約束したウクライナへの武器支援を停止と再開を繰り返し、ウクライナに休戦を迫ってきた。1日の海外メディア報道によると、ピート・ヘグセス米国防長官は今月に入り、米軍の弾薬在庫を懸念してウクライナへの武器輸送を一時中断したという。彼は2月と5月にもウクライナへの武器支援を一時停止している。ガーディアンは今月の支援中断の原因がパトリオットの不足にあると分析した。

WSJは、トランプ大統領が今回パトリオット・ミサイルを送る場合、就任以来初のウクライナへの新規支援になると強調した。これまでトランプ大統領は比較的扱いやすいウクライナを圧迫し、ロシアの主張に耳を傾けながら迅速な終戦を追求してきた。
しかし、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は米国の休戦仲介努力にもかかわらず、攻勢を続け戦争を止めなかった。そのため、トランプ大統領は先月からプーチン大統領よりも、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に友好的な態度を示すようになった。
就任前にウクライナ戦争と中東和平を約束していたトランプ大統領は、先月イラン・イスラエル間の衝突が沈静化する中、ウクライナ問題の解決だけが残されている状況だ。彼は7日、記者団に対しウクライナへの武器支援を「しなければならない」と述べた。
トランプ大統領は8日の内閣会議で「正直に言えば、プーチン大統領は我々に対して非常に多くの戯言を吐いている」と述べ、「彼は毎回我々に非常に親切だが、結局それは何の役にも立たないことが明らかになっている」と語った。トランプ大統領は「我々はプーチン大統領に不満を持っている。私はプーチン大統領に不満だ。今の時点でそこまでは言える。なぜなら、彼は多くの人を殺しているからだ」と述べた。今月のウクライナ武器支援中断を誰が決定したかという質問に対しては「私は知らない。あなたが教えてくれ」と答えた。
またトランプ大統領はこの日、米上院で審議中のロシア制裁法案について「非常に注意深く見守っている」と述べた。トランプ大統領の側近として知られる共和党のリンゼー・グラム上院議員(サウスカロライナ州)は、ロシアのウクライナ侵攻を支援する第三国に関税や制裁を課す法案を推進している。現在、上院内で少なくとも80人の議員がこれを支持していると言われている。

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