
米政治専門紙のポリティコは9日(現地時間)、米トランプ政権の予算削減と人員削減要求により、米航空宇宙局(NASA)の幹部職から約2,000人が早期退職することになったと報じた。
ポリティコは独自入手したNASAの内部文書を引用し、少なくとも2,145名の上級技術者や管理責任者らがホワイトハウスの圧力に屈し、退職に応じたと伝えた。NASAの幹部職に加え、一般職員も含めると、全体の削減規模は2,694名に上るとポリティコは付け加えた。
同メディアによると、ホワイトハウスはNASAの2026会計年度予算を前年比約25%削減することを決定し、5,000人以上の人員削減を要求した。NASA傘下の各センターに具体的な削減規模を通達したという。
トランプ政権が5月に策定した案によれば、NASAの年間予算は前年度の248億ドル(約3兆6,270億円)から188億ドル(約2兆7,495億円)へと大幅に縮小された。また、現時点で退職に応じた人数はホワイトハウスが当初要求した5,000人の半数程度にすぎないため、今月下旬までにさらに多くの職員が退職に同意しない場合、強制解雇が始まる可能性があるとポリティコは報じている。
NASA内外では、この大規模な人員削減によりNASAの中核的能力が損なわれ、半世紀ぶりに月面に宇宙飛行士を再び送る計画などが危ぶまれている。ポリティコは、NASAを去る中核的な研究者や技術者の多くが、近年事業を拡大している民間宇宙企業に引き抜かれ、再び機関に戻る可能性は低いと指摘した。
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