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【EU報復リスト判明】米自動車・航空機・バーボン…EU、対米”報復関税”で12兆円規模リスト策定!

望月博樹 アクセス  

引用:EPA通信
引用:depositphotos

欧州連合(EU)が新たに策定した対米報復関税パッケージに、自動車、航空機、バーボン・ウイスキーなど米国の主力輸出品が多数含まれていることが判明した。ただしEUは、米国のドナルド・トランプ大統領が設定した新たな期限である8月1日までは交渉に専念し、いかなる報復措置も実施しない方針だ。

14日(現地時間)、ポリティコ欧州版やユーラクティブなどによると、EUの行政府に相当する欧州委員会は前日、27加盟国に対し第2次報復措置の対象リストを記載した206ページの文書を共有したという。この措置は米国の基本関税10%、自動車25%に関連する対抗措置だ。

報道機関に流出した文書草案によると、第2次措置の対象規模は総額721億1,600万ユーロ(約12兆4,726億円)で、工業製品(657億6,400万ユーロ・約11兆3,740億円)と農産品(63億5,200万ユーロ・約1兆986億円)に大別される。報復関税率は明記されていない。

工業製品のうち、航空機が108億9,400万ユーロ(約1兆8,841億円)と単一品目としては最大規模だ。ボーイングをはじめとする米国の主要航空機メーカーが影響を受ける見込みだ。続いて機械類、自動車、化学製品・プラスチック、医療機器、電気機器の順で報復関税の規模が大きい。

引用:Getty Images*この画像は記事の内容と一切関係ありません
引用:Getty Images*この画像は記事の内容と一切関係ありません

対EU輸出額自体は大きくないが、象徴的な製品も含まれている。米南部ケンタッキー州で主に生産されるバーボン・ウイスキーがその代表例だ。バーボン・ウイスキーは当初、現在保留中のEUの第1次報復措置に含まれていたが、トランプ大統領が欧州産ワインを標的に「再反撃」すると警告したため最終的に除外された。しかし、今回策定された第2次報復措置に再び盛り込まれた。

欧州委員会はこの文書で、5月に第2次報復措置の構想を初めて発表した際、対象規模を950億ユーロ(約16兆4,295億円)と設定したが、その後利害関係者の意見を聴取し、721億ユーロ(約12兆4,692億円)規模に縮小したと説明している。また、代替供給先のある商品や、生産拠点が米国に移転するリスクなどを評価し、最終リストを絞り込んだとしている。

第2次報復措置の実施には、公式な施行法が加盟国の承認を経て採択される必要がある。貿易政策の全権が欧州委員会にあるため、この承認手続きは形式的なものとみられている。一部加盟国が欧州委員会の計画に不満を持っていても、これを阻止するにはEU人口の65%以上を代表する加盟国の55%以上(15か国)の反対票が必要だ。つまり理論上は、欧州委員会が決定すれば即座に報復措置を実行できる仕組みになっている。

それにもかかわらず、欧州委員会はすべての報復措置の実施を8月1日以降に先送りした。 欧州委員会のオロフ・ギル報道官は同日の定例記者会見で、関連質問に対し「交渉が続く8月1日までは、いかなる報復措置も講じない方針だ」と述べ、交渉に専念する姿勢を改めて示した。また「現在、最も微妙な交渉段階にあり、原則的な合意達成に向けて引き続き努力している」と付け加えた。

米国の鉄鋼関税への対抗措置として早くから準備されていた210億ユーロ(約3兆6,318億円)相当の第1次報復措置についても、来月初めまで猶予期間が延長された。EU側の交渉代表であるマレシュ・シェフチョビチ議員(貿易・経済安全保障担当)は前日、ハワード・ラトニック米商務長官と電話会談を行った後、この日は米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表と電話会談を予定している。また、EU交渉実務チームもこの日、米ワシントンDCに向けて出発したと欧州委員会は伝えた。

これに先立ち、トランプ大統領は12日、EUに対し交渉が不調に終わった場合、8月1日から30%の相互関税を課すとの書簡を送付した。

望月博樹
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