
イラン核施設への攻撃で再び脚光を浴びた米空軍の地中貫通爆弾「GBU-57」に、意外な弱点が存在する可能性があると中国の研究チームが報告した。
香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)』によると、中国の西北機電工程研究所が行ったコンピューターシミュレーションの結果、GBU-57は側面装甲が薄く、特定条件下では対空砲による迎撃が可能だとされた。
シミュレーションでは、中東地域で広く使用されているスイス製「オリコン」対空砲を使用。高度1,400メートル以上では弾丸の貫通力が足りないが、1,100メートル以内であれば、砲弾による熱や破片によって爆発を誘発できるという。ただしこれは「数センチ程度の厚みしかない側面部分」に限られ、先端部(ノーズ)は強化されているため、攻撃を防ぐ構造となっている。

一方で、理論上の話に過ぎないとの見方も根強い。SCMPは「実戦では極めて困難」とし、「第二次世界大戦のように、爆弾の落下軌道を正確に予測し、そこにあらかじめ対空砲を配置する必要がある」と指摘。そのうえで、「作戦開始前に米軍が事前の空爆で防空拠点を無力化することが多く、スマート爆弾であるGBU-57の飛行経路を予測するのはさらに難しい」としている。
GBU-57は通称「マッシブ・オーディナンス・ペネトレーター(MOP)」と呼ばれる兵器で、地下数十メートルにある核施設やバンカーの破壊を目的に開発された。米軍は先月21日、イランのフォルドゥなど3か所の核関連施設に対し、GBU-57を計12発使用したとされる。
この爆弾は全長約6.2メートル、重量13.6トン、弾頭重量は2.4トンにも達し、投下可能な航空機はB-2ステルス爆撃機に限られる。現時点で公開されているバンカーバスター兵器の中では最強クラスに分類されている。
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