休戦提案を無視、「軍事目標が最優先」
関税圧力を一蹴、連日のドローン攻撃

ドナルド・トランプ米大統領の休戦圧力とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(写真)の休戦協議再開提案にもかかわらず、ロシアは連日ウクライナに対して大規模な無人機(ドローン)およびミサイル攻撃を続けている。
ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官も20日、国営テレビに出演し「我々にとって最も重要なのは『軍事目標』を達成することだ」と述べ、戦争継続の意向を示した。これは、トランプ大統領が「50日以内にウクライナと休戦に和解しなければ、ロシアだけでなくロシアの貿易相手国にも100%の関税を課す」と警告したことを一蹴する形だ。ゼレンスキー大統領も19日、「ロシアはもはや(休戦のための)決断を避けてはならない」と圧力をかけたが、ウラジーミル・プーチン露大統領は態度を変えていない。
ウクライナメディア「キーウポスト」などによると、ロシアの度重なる攻撃により20日、ウクライナ全土で少なくとも7人が死亡し、28人が負傷した。21日も空爆が続き、少なくとも2人が命を落とした。12歳の少年を含む15人が負傷した。
ロシアの攻勢は当面さらに激化するとの見方が強い。キーウポストによると、ロシアはウクライナ戦争に大規模投入するため、ドローンの生産を急速に拡大している。独国防省は、ロシアが最大2,000機のドローンを同時にウクライナに投入できる状況にあると分析した。ウクライナ軍事情報局(HUR)も先月21日、ロシアが一晩で配備可能なドローン数は最大500機であると明らかにし、ゼレンスキー大統領も「ロシアが1日に最大1,000機のドローンを発射できる」と述べた。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、ウクライナ空軍の資料を引用し、「今年4~6月にウクライナに発射されたロシアのドローンの命中率が、前の3か月の5%から3倍の15%に上昇した」と報じ、「2022年2月のウクライナ戦争勃発以来、最高水準だ」と付け加えた。ロシアの執拗な攻撃はウクライナの戦意を削ぎ、休戦交渉でより多くの譲歩を引き出すことを狙ったものだと、FTは分析している。
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