米トランプ政権は、人工知能(AI)の開発において「安全性」よりも「中国に対する優位性の強化」を優先し、米国内におけるAI開発規制の緩和とデータセンターへの電力供給拡大を促した。
トランプ政権は23日(現地時間)、ホワイトハウスで「AI行動計画( アクションプラン)」を発表した。この計画では、米国内のAI関連インフラプロジェクトの促進を目的として、各州に対し許認可手続きの改善と環境基準の簡素化を推奨している。
さらに、米国の技術を世界のAI基盤とし、中国などの敵対国に対する優位性を防ぐためのセキュリティ対策も講じる計画だ。これに関連し、米政府はAIの新技術を規制する州への資金援助を中止するよう指示した。

ホワイトハウスのAI・暗号資産責任者、デイビッド・サックス氏は声明で、「米国がAI競争に勝つためには、革新、インフラ、そしてグローバル・パートナーシップのリーダーシップが不可欠だ」と述べた。
さらに、エネルギー消費の大きいAIデータセンターの運営に必要な電力供給について、既存のエネルギーネットワークの安定化と送電システムの性能向上を図る戦略の実行が推奨された。特に、急増する需要に対応するために、原子力発電所や改良型の地熱発電所の配置が可能になった。
ブルームバーグのデータによれば、2035年までにデータセンターは米国全体の電力需要の8.6%を占めると予測されており、現状は約3.5%に留まっているという。米エネルギー省は、閉鎖が予定されていた2つの発電所について、運転継続のために緊急権限を行使し、さらなる米政府の介入の可能性も示唆した。
米国のドナルド・トランプ大統領は、この日にAI計画の複数要素を実行するための行政命令に署名する予定だ。その中には、米国国際開発金融公社(IDFC)と輸出入銀行を活用して米国技術の世界普及を支援する指示が含まれている。また、別の行政命令では、政府が調達するすべての大規模言語モデル(LLM)が中立で偏りのないものであるべきと規定されている。
マルコ・ルビオ米国務長官は「この行動計画は、米国が引き続き世界の技術標準を設定していくためのものだ」と述べた。
トランプ大統領は、就任数日後にジョー・バイデン前大統領時代の「安全なAI」開発のために広範な安全試験要件を設け、主要なAI開発企業に透明性報告書の提出を義務付けた2023年の行政命令を撤回した。代わりに、6か月以内に新たなAI政策の方向性を確立するよう指示した。
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