米CBSの深夜トーク番組『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』が来年5月で打ち切られることが決定した中、番組ホストのスティーヴン・コルベアがドナルド・トランプ大統領に向けて痛烈な一撃を放った。

コルベアは2015年から番組を担当し、トランプ政権時代の鋭い風刺で知られていた人物。突然の番組終了発表に対し、ネット上では「政治的圧力が働いたのでは」との憶測が飛び交っている。
火に油を注いだのは、トランプ大統領の挑発だ。18日、彼は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「コルベアが解雇されたのは本当にうれしい。奴の才能は視聴率以下だ」と投稿。喜々として番組の終焉を祝った。
これに対しコルベアは、番組終了発表後初となる21日の放送で真っ向から反撃。「大統領、よくもそんなことが言えるな。才能がない人間に、ここまでの風刺ができるか?クッキーでもかじってろ」と言い放った。
さらに「番組が終わることを週末に突きつけられたが、彼らはひとつの過ちを犯した。俺を生かしたことだ。あと10カ月、思う存分権力をあぶり出してやる」と挑発を返し、「俺はトランプが大嫌いだ。彼には大統領の資格がないし、その席にふさわしくない」とまで言い切った。
この痛烈な応酬の裏では、CBSと親会社パラマウントの決定にも疑問の目が向けられている。番組終了理由として「財政的な判断」と説明されているが、視聴率1位の番組をなぜ金の問題で切るのか、という声が強い。
放送当日には、NBCのジミー・ファロンやセス・マイヤーズ、HBOのジョン・オリバー、そしてコメディ界の重鎮ジョン・スチュワートまでもが客席に姿を見せ、コルベアを公然と支持した。

メディア業界では、パラマウントがハリウッドのスカイダンス・メディアとの84億ドル(約1兆2,380億円)規模の合併を進める中、連邦通信委員会(FCC)の承認を得るため、トランプ大統領に「忖度」したのではとの見方も出ている。
実際、CBSは今月初め、トランプ大統領が起こした民事訴訟で1,600万ドル(約23億5,850万円)の和解金を支払っていた。
『ザ・レイト・ショー』は2015年にデイヴィッド・レターマンの引退を受けてスタート。以降10年間、同時間帯の視聴率トップを誇っていたが、来年5月をもって後任司会者も立てず、番組自体が幕を下ろす予定だ。
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