ウォール街「今回も結局、関税導入は見送り」

米国と貿易協議を締結していない国々に対し、8月1日から高率の「相互関税」を課すというドナルド・トランプ米大統領の脅しにもかかわらず、金融市場が平静を保っている理由について、ホワイトハウスとウォール街で見解が分かれていると、24日(現地時間)の米CNN放送が伝えた。
CNNによれば、トランプ第2期政権がこれまでに貿易協議で合意に達した国は、英国、中国、インドネシア、ベトナム、フィリピン、日本の6カ国にとどまるという。
一方、トランプ政権は韓国、欧州連合(EU)、インドなどその他の国々に対して、合意に至らなければ8月1日以降に高率の「相互関税」を課すと公言している。
仮にトランプ政権がこの方針を実際に実行すれば、グローバルなサプライチェーンに混乱が生じ、報復措置が取られ、国際貿易の停滞や物価の上昇を招き、金融市場全体に大きな影響を与える恐れがある。
トランプ大統領が4月に高率相互関税の導入方針を示した際、米国債および株式市場は大混乱に陥り、その後、トランプ政権は数日内に施行を延期した。
その後、関税の導入発表と延期の発表が交互に繰り返され、ウォール街では「タコ(TACO)」という言葉が流行した。これは「Trump Always Chickens Out(トランプはいつも怯んで引き下がる)」という意味である。
トランプ政権が指定した関税導入の時期が1週間余りに迫る中、23日にはS&P 500及びナスダック指数が史上最高値で取引を終えたなど、米国市場が好調である背景には、高率関税が実際には強行されないだろうとの市場の見通しがあるとの分析がある。
市場関係者は、トランプ政権が8月1日までにEUなど主要貿易パートナーとの合意を締結するか、あるいは交渉期間を再延長するとの見方を示している。
しかし、トランプ大統領の側近たちは、市場が安定している理由は「タコ」ではなく、むしろトランプ大統領の関税政策が効果を発揮して米国経済に貢献していることにあると主張している。
ホワイトハウス関係者はCNNに対し、「市場の安定は『タコ』といった戯言によるものではない。米国内外の企業や貿易相手国は、大統領がこの問題に真剣であることを理解しており、関税による衝撃を吸収するために、ビジネスモデルとサプライチェーンの調整を進めている」と述べた。
ホワイトハウス広報担当のクシ・デサイ氏は、CNNに送付した声明の中で、トランプ大統領が主張していた関税の効果が実証されたとし、「不況と物価上昇が訪れるという悲観的な予測」は実現しなかったと語った。
これに対し、ジョー・バイデン政権時代に通商担当の公務員を務め、現在は投資銀行エバーコアISIの上級幹部として働くサラ・ビアンキ氏は、これに対して対照的な見解を示した。
同氏は「企業や投資家は、トランプ大統領が本気で関税の強行に踏み切るとは信じていない」とし、万が一トランプ政権が高率相互関税の脅威を実行すれば、市場に大きな打撃が走るだろうと警告した。
注目の記事