
米国が全世界の貿易相手国に大規模な関税を課す中、米議会では関税収入を活用して全国民に1人当たり最低600ドル(約8万8,863円)を支給する法案が浮上した。
米政治専門紙「ザ・ヒル」によると、29日(現地時間)、共和党のジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州)が、関税による物価上昇の負担を軽減するため、全国民に少額の還付金を支給する内容の法案を提出したという。
ホーリー議員は、今年の関税収入が予想を上回る場合、還付額を増額する可能性もあると述べた。同議員によれば、今年の米国の関税収入は1,500億ドル(約22兆2,104億円)を超える可能性があるという。
ホーリー議員は「米国民は、家計の貯蓄と生活を破壊したジョー・バイデン前政権の4年を経た今、税金還付を受ける資格がある」と述べ、「私の法案は、ドナルド・トランプ米大統領の提案と同様、勤勉な米国民がトランプ大統領の関税政策によってもたらされる富の恩恵を受けられるようにするものだ」と語った。
トランプ大統領も関税還付を検討していることを明らかにしている。25日、記者団から関税還付の可能性について問われた際、「我々は若干の還付を検討している」と述べ、「我々の主な目的は負債削減ですが、還付も検討対象に含まれている」と語った。
以前、米政府は新型コロナウイルス感染拡大時に景気刺激策として1人当たり600ドルの給付金を支給した経緯がある。当時は多くの世帯が収入を失ったり、就労不能な状況に陥っていたが、現在はトランプ政権の関税政策によって米国民の物価負担が増大しているとの指摘がなされている。
また、還付金の支給が米連邦政府の財政赤字を悪化させ、さらに人々が還付金を使用することでインフレ圧力が高まる可能性も懸念されている。セントルイス連邦準備銀行の2023年の調査によれば、コロナ禍での給付金は米国のインフレ率を約2.6%押し上げる効果があったという結果が出ている。
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