カナダ、パレスチナ国家承認の意向を表明、G7で3か国目

カナダ政府が、今年9月に開催される国連総会においてパレスチナを独立国家として承認する意向を示している。主要7か国(G7)の中では、スペイン、フランスに続く3か国目となる。
カナダのマーク・カーニー首相は30日(現地時間)、オタワの連邦議会での会見で「第80回国連総会において、パレスチナを国家として認める意向がある」と述べた。
ただし、パレスチナ国家認定は一定の条件が必要との認識を示しており、その前提としてパレスチナ自治政府による統治改革の必要性に言及した。
具体的には、マフムード・アッバース議長による統治体制の抜本的な改革、公正な選挙の実施(2026年、ハマスを除外)、そして非武装国家としての確約が求められると説明した。
カーニー首相は「アッバース議長とは本日、長時間にわたって電話で会談し、これらの点についての約束を再確認した」とし、パレスチナが民主的な統治体制を構築できるよう、カナダが支援する意向を示している。
パレスチナ自治政府の集計によれば、現在、バチカン市国を含む147の国連加盟国がパレスチナを主権国家として承認しているとされる。昨年以降、ガザ地区での人道的危機が深まる中、スペインやアイルランド、ノルウェー、スロベニア、アルメニアなど約10か国が新たにパレスチナを国家として認定した。
パレスチナは2012年の国連総会で「オブザーバー団体」から「オブザーバー国家」へと格上げされ、以降この地位を維持している。
ただし、国連の正規加盟国となるためには安全保障理事会の承認が必要となり、2011年および昨年4月には、常任理事国であるアメリカが拒否権を行使したことで、正式加盟には至っていない。
これまでアメリカや韓国、日本を含む多くの西側諸国は、パレスチナ国家を公式に承認してこなかった。しかしながら、ガザ地区の人道的惨状が拡大し、地域の安定に向けた「二国家解決」への支持が高まりつつあり、最近ではフランスを筆頭に西側諸国で承認に前向きな姿勢が広がっている。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は今月24日、パレスチナ国家の承認を検討する考えを示しており、イギリスのキア・スターマー首相も29日、「イスラエルが9月までにガザ地区での停戦に応じなければ、パレスチナ国家の承認に踏み切る」との立場を明らかにした。
一方、カーニー首相は会見の中でアメリカとの通商交渉にも言及し、「カナダ国民の利益を最優先にしながら最良の合意を目指しているが、現時点ではまだ妥結には至っていない」と述べた上で、「合意に向けて交渉を継続する」との方針を示している。
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