停戦を迫るハマスのメッセージ

パレスチナ自治区ガザで深刻な食糧不足により餓死者が増加する中、イスラム武装組織ハマスが、やせ細った人質の映像を公開し、イスラエルに対して停戦を迫った。また、パレスチナ国家が樹立されるまではイスラエルの武装解除要求を受け入れないと主張した。
ハマスは今月2日(現地時間)、660日以上ガザ地区で拘束されている人質、エヴィヤタル・ダヴィド氏(24)の姿を捉えた映像を公開した。約4分間の映像で、ダヴィド氏は肋骨が浮き出るほどやせ細った体で、「支給されるのは缶詰の豆だけ。3日間何も食べられなかった日もある」と述べ、「見捨てられた気持ちだ」と、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に助けを訴えた。
この映像はイスラエル社会に衝撃を与え、同国ではテルアビブの高速道路を封鎖する大規模なデモが行われ、停戦を求める声が高まっている。
一方、ドナルド・トランプ米大統領の中東特使であるスティーブ・ウィトコフ氏は1日、ガザ地区を訪問し、現地の人道支援状況を視察した。翌日にはイスラエル・テルアビブの「人質広場」を訪れ、「ハマスが武器を放棄する準備ができている」と発言した。
これに対しハマスは、ウィトコフ特使の「武装解除準備」発言に反発し、完全な主権を持つパレスチナ国家の樹立を主張した。また、同特使のガザ訪問について「演出されたショーだ」と批判し、「(イスラエルによる)占領が続く限り、抵抗と武器は正当な権利だ」と強調した。
この日、『AP通信』は、飢餓に苦しむパレスチナ住民少なくとも10人が、ガザ人道財団(GHF)の配給所近くでイスラエル軍の発砲により死亡したと報じた。
ガザ地区の停戦交渉は、先月24日にハマスが「60日間の停戦案」に対する逆提案を提示して以降、膠着状態に陥っている。ハマスはこの中で、イスラエル軍の撤収拡大や援助物資の配給方式の見直しを求めている。一方、イスラエル側は停戦の条件として、ハマスの武装解除と指導部の国外追放を要求している。
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