
米政府が、観光やビジネス目的で入国する一部外国人に対して、最大1万5,000ドル(約222万円)の保証金を義務づける制度を導入する方針を明らかにした。滞在超過者への対策を強化し、国家安全保障を優先する姿勢を明確にした形だ。
4日付の『ニューヨーク・タイムズ』によると、米国務省は「ビザの有効期限を過ぎて滞在する傾向が強く、安全審査の透明性が不十分」とされる国の出身者を対象に、最低5,000ドル(約74万円)から最大1万5,000ドル(約222万円)までの保証金を徴収すると発表した。
保証金は米国出国時にビザの条件を守っていれば返金されるが、違反した場合は没収となる。対象国は明示されておらず、国土安全保障省が公開している「ビザ超過滞在率」データに基づき今後決定される見通し。
国務省は公報の中で、「この制度は審査や検証の甘さによってもたらされる国家安全保障上のリスクを抑えるための、トランプ政権の外交政策の柱」と強調。2023年のデータを引用し、「50万人以上の入国者が許可された滞在期間を超えて米国内にとどまっていた可能性がある」と指摘した。
保証金対象者は、制度対応の指定空港を経由して入出国する必要があり、国務省は制度実施の15日前に該当空港リストを公表するとしている。
この制度は12カ月間の試験導入とされ、審査情報が不十分と見なされる国の出身者に加え、実際の居住要件を満たさず、投資によって市民権を取得した人物にも適用される。
保証金額の決定は各地の領事館職員が担当するとされ、制度自体は今月20日から施行される予定だ。
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