
中国・インド・ロシアと鋭く対立する米国のドナルド・トランプ大統領が、7~11日(現地時間)に国際貿易を揺るがす相互関税・二次制裁の決定を発表する見通しだ。交渉の行方は、政治・外交問題を関税で解決しようとするトランプ大統領の圧力と、これに対抗する大国の姿勢次第だ。
トランプ大統領は先月の31日、行政命令で欧州連合(EU)を含む計69の経済主体に課す相互関税率を確定し、今月7日の午前0時1分から発効すると発表した。最低税率の10%が適用されるのは英国など3か国で、15%が40か国、15%超が26か国となっている。米国の主要貿易相手国であるカナダとメキシコは、相互関税とは別に「フェンタニル関税」が課されている。カナダはすでに今月1日から35%のフェンタニル関税を支払っており、メキシコは先月31日から90日間25%の税率を維持することで合意した。
7日の期限が最も重荷となるのはインドだ。トランプ大統領は今年2月にインドのナレンドラ・モディ首相と直接会談し親密な関係をアピールしていたが、4月と先月の発表でインドに25%の相互関税を課すと明らかにした。トランプ大統領は4日、SNSを通じてインドがロシア産石油の購入を続ければ「対印関税を大幅に引き上げる」と警告した。
この警告は8日以降に予定される二次制裁に関連している。ウクライナ停戦を仲介中のトランプ大統領は先月、ロシアが今月8日までに戦争を停止しなければ、ロシアおよびロシアと取引する国に100%以上の関税を課すと予告した。昨年、ロシア産石油の最大の輸入国は中国(47%)で、2位はインド(37%)だった。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、トランプ大統領の警告にもかかわらずウクライナ攻撃を止めていない。トランプ大統領はひとまず6~7日にスティーブ・ウィトコフ中東特使をロシアに派遣すると発表した。
インドと中国もトランプ大統領の脅しに関係なく、ロシア産石油の購入を続ける方針だ。インド外務省は1日の記者会見で「対ロシア政策に変更はない」と述べた。中国外交部も先月31日、SNSのX(旧Twitter)に投稿し、「中国は国益に関わるエネルギー供給を常に確実に維持する」とし、トランプ大統領の圧力に屈しない姿勢を示唆した。
中国の強硬姿勢は貿易交渉にも影響を及ぼす見込みだ。2~4月に報復関税の応酬があった米中は、5月のスイスでの交渉で今月11日まで90日間報復関税を部分的に猶予し、関税率を115%引き下げることで合意した。両国は先月29日、スウェーデンで3回目の交渉を行ったが、4日まで猶予延長については言及しなかった。
米国のスコット・ベッセント財務長官はスウェーデン交渉直後、猶予期間90日の追加延長を協議したが、最終決定はトランプ大統領が下すと述べた。彼は、トランプ大統領が交渉内容を承認しない場合、対中関税が4月2日(最初の相互関税発表日)に設定された水準(34%)に戻るか、別途に定められる可能性があると語った。
一方、7日から39%の相互関税を負担することになるスイス政府は4日、声明で「米国の立場を考慮し、魅力的な提案を行う準備が整った新たな段階に入った」と発表した。現地政府の関係者は海外メディアを通じ、交渉期限を7日以降に延長することに注力していると説明した。
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