米トランプ政権が、貿易相手国に対し関税の引き下げと引き換えに米国産自動車市場の開放を引き出したものの、実質的な効果は限定的とする見方が出ている。

5日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は自動車業界関係者の話として、「(米国産自動車に対する)日本の貿易障壁撤廃の約束が、販売増加に大きく寄与するとは考えにくい」と報じた。日本は先月22日、相互関税を従来の25%から15%に引き下げる代わりに、米国に対し5,500億ドル(約81兆456億円)規模の投資と追加の米国産米の輸入、さらには米国産自動車およびトラック市場の開放を約束した。
米国のドナルド・トランプ大統領はこれまで、日本の不公正な輸入自動車の認証制度のため、米国自動車メーカーが日本市場に車両を販売することが「不可能だ」と批判してきた。彼は、日本が米国の安全基準を満たした車両を受け入れようとしないと主張した。就任当初からこの問題を指摘し、最終的には関税を武器として日本の規制障壁撤廃に成功した。
問題は、米国産自動車が日本の道路事情に適していない点にある。米国自動車メーカーの主力製品は大型のスポーツユーティリティビークル(SUV)やトラックだが、道路が狭い日本で消費者は主に小型車を好むため、トヨタ、ホンダ、日産などの日本ブランドは既に自国の消費者の嗜好に合わせた多様な小型車を提供している。
このため、米国自動車メーカーは長年、日本市場で十分な存在感を示すことができなかった。日本自動車輸入組合(JAIA)によれば、日本の輸入車市場におけるジープ(Jeep)などの米国ブランドのシェアはわずか2.8%で、海外から逆輸入された日本ブランドのシェア(30.0%)の10分の1にも満たないという。米国の大手自動車メーカーであるフォード(Ford)は、収益性の低さを理由に2016年に日本市場から撤退した。
中央大学の木村剛教授は「米国自動車メーカーにとって、貿易障壁は大きな問題ではなかった」と指摘した。日本の自動車市場が既に飽和状態にあるため、米企業は日本市場向けモデルの開発をおろそかにしてきたと分析している。木村教授は「日本市場の需要を考えると、米国車は適していない。たとえ日本が自動車市場を開放したとしても、米国車が好調な売れ行きを見せる可能性は低い」と付け加えた。
今回の関税交渉は、日本国民にとって1990年代の状況の再現のように感じられる可能性があるとNYTは伝えた。ビル・クリントン前政権は1995年、日本が自国市場を開放しないことを理由に日本産自動車に100%の関税を課すと警告した。当時、日本は輸入車へのアクセス拡大などの措置を講じたが、米国産自動車の日本国内における販売量は大きな変化を見せなかった。米国車の不振は、単に規制だけが原因ではなかったという見方だ。
NYTは「トランプ大統領は先週、韓国との貿易協定を発表し、同様の約束を取り付けた。日本と同じく、15%の関税率適用の代わりに、韓国がより多くの米国産自動車とトラックを無関税で自国市場に受け入れると述べた」とし、「しかし、韓国も日本同様、米国車ブランドの販売比率が非常に低い」と伝えた。
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