
米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が行った「アラスカ会談」は、プーチン大統領の完勝で終わったとの評価が大方を占めている。プーチン大統領は今回の会談を通じ、米国の経済制裁を遅延させ、ウクライナの「ドンバス譲歩」を停戦の条件として押し通すなど、交渉の主導権を握ったためである。
トランプ大統領がプーチン大統領に友好的な姿勢を示す中、18日(現地時間)にホワイトハウスで予定されているウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談は難航すると予想されている。
トランプ大統領は16日、SNSの「トゥルース・ソーシャル」で「この悲惨な戦争を終結させる最善の方法は平和協定を締結することであり、効果のない単なる停戦協定ではないというのが関係者全員の共通認識だ」と述べた。アラスカ会談前には「プーチン大統領が戦争を止めなければ、非常に深刻な結果を招くだろう」と即時停戦を求めていたが、立場が一変した形になった。
トランプ大統領はまた、ロシア産原油の輸入国に対する二次関税を課す経済制裁に関しても「今は考える必要がない」と発言し、態度が180度転換した。これにより、今回の首脳会談はプーチン大統領の一方的な勝利だったとの評価が相次いでいる。
ロイター通信によると、ロシアは今回の会談でウクライナに占領地の一部を返還する代わりに、ドンバスの残りの地域を獲得する提案をしたという。ロシアは2022年2月24日に始まったウクライナ侵攻で、ドンバス(ルハーンシク、ドネツク)全体の面積の88%にあたる4万6,570平方キロメートルを掌握している。
ロシアの提案によれば、ロシアはドンバス地域で88%を占領した上で、残りの12%も手に入れることになる。一方、ロシアがウクライナに譲歩すると提案したスームィ・ハルキウの面積は約440平方キロメートルである。ウクライナが譲渡する土地の面積は、返還される土地の15倍にも及ぶ不公平な取引になっている。さらにロイター通信によると、ロシアは2014年に強制併合したクリミア半島のロシアへの正式編入の承認や、侵攻後に課された大規模な対ロシア経済制裁の一部解除も要求したという。
プーチン大統領がドンバス地域の領土編入を固持する理由は、その戦略的価値と象徴的意義が重なるためである。かつてロシア帝国の全盛期を象徴したドンバス地域を掌握すれば、ロシアが既に支配下に置いているクリミア半島との陸路が確保され、海へのアクセスも得られるという利点がある。
しかし、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に対し、プーチン大統領の要求を受け入れるよう圧力をかけると予想される。これまで領土交渉の可能性を一蹴してきたゼレンスキー大統領は、SNSの「X(旧Twitter)」で「戦争を終結させるための努力が複雑化している」と述べ、困惑を隠さなかった。
トランプ大統領は代わりに、ゼレンスキー大統領や欧州の主要国首脳との電話会談で「北大西洋条約機構(NATO)類似方式の安全保障」を提案したとされる。これは、NATO条約の第5条に基づき「加盟国の一つが攻撃を受けた場合、同盟全体で共同防衛に当たる」という条項をウクライナにも適用する案である。
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