和気藹々?「ゼレンスキー大統領、大人しくしていてください」弱小国の悲哀

「ゼレンスキー大統領、あなたが大人しくしていれば、私も何も言いませんよ」
これはJDバンス米副大統領の言葉だ。
バンス副大統領は現地時間20日、『フォックスニュース』で18日にホワイトハウスの大統領執務室で行われたドナルド・トランプ米大統領とウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領の首脳会談に関するエピソードを紹介した。
バンス副大統領は「ゼレンスキー大統領が執務室に入ってきた。私は彼と話しながら『大統領、あなたが大人しくしていれば、私も何も言いませんよ』と言った」と明かした。
そして「すると、ゼレンスキー大統領が軽く笑った。場の雰囲気を和らげるための軽い冗談だった」と付け加えた。
バンス副大統領はこのエピソードを「冷たい雰囲気を和らげようとした」という意図で紹介したが、事実だとすればゼレンスキー大統領にとっては屈辱以外の何物でもない。
米時事週刊誌『ニューズウィーク』は、バンス副大統領のこの発言がトランプ政権の外交政策を巡る論争に油を注ぐだろうと予測した。
バンス副大統領は、2月にトランプ大統領とゼレンスキー大統領が激しい口論の末に決裂した米・ウクライナ首脳会談の際にも「感謝の気持ちを忘れるな。米国とトランプ大統領に感謝の意を示せ」とゼレンスキー大統領を叱責したことがある。
副大統領は「大人しく…」記者は「素敵ですね」と服装を評価
ゼレンスキー氏、苦笑いとお世辞…
弱小国の屈辱以前に一部では、2月と比較して今回の会談は「和やか」だったと評価されていた。
実際、ゼレンスキー大統領を出迎えたトランプ大統領は、彼を見るなり「スーツ姿が素晴らしい」と褒め称えた。前回の会談で服装を問題視していたのとは明らかに異なる反応だった。
しかし、バンス氏の「冗談」を含め、詳細を見ると、むしろ2月よりも屈辱的な会談だったという見方もある。
例えば、前回の会談で「スーツは持っているのか」とゼレンスキー大統領を嘲笑し侮辱した米右派メディア『リアル・アメリカズ・ボイス』のブライアン・グレン記者は、今回の会談では「素晴らしい」とゼレンスキー大統領を称賛した。
これに対しゼレンスキー大統領が「私は服を変えたが、あなたはそのままだ」と切り返し、参加者たちは笑いを漏らした。
一見すると和やかな場面に見えるが、一国の首脳が他国の記者に面と向かって服装を評価されることはほとんど例がなく、依然として屈辱的だと言える。
もちろんゼレンスキー大統領は「スーツとネクタイを着用してください」というホワイトハウスからの事前の要請に従い、半ば仕方なくスーツを着用した。これにより停戦交渉の局面で「妥協する用意がある」というメッセージを伝えた。
しかし、彼が「戦争が終わったら(スーツを)着る」と述べ、最前線の大統領としての毅然とした姿勢を示していたことと比較すると、今回の会談は弱小国の悲哀をより一層浮き彫りにした。
バンス氏「ウクライナの安全保障、主にヨーロッパの役割」
「コルビー、『最小限の関与』をヨーロッパに通告」


一方、バンス副大統領はこの日のインタビューで、ウクライナの安全保障について「我々がその負担を負うべきだとは考えていない」と述べた。
バンス副大統領は「我々は戦争と殺戮を終わらせるために必要であれば支援すべきだ」としながらも、「何が起ころうと、どのような形になろうと、ヨーロッパが負担の『大部分』(lion’s share)を担うべきだ。これは彼らの大陸であり、彼らの安全保障の問題だ」と強調した。
また「米国は(ウクライナへの安全保障提供に関する)対話には前向きだが、まず戦争を終結させるために何が必要かを見極めるまでは約束はしない」と付け加えた。
米政治専門メディア『ポリティコ』によると、エルブリッジ・コルビー米国防次官(政策担当)も前日、欧州諸国の軍首脳らとの会議で「最小限の役割しか果たさない」との方針を伝えたという。
コルビー次官は英国、フランス、ドイツ、フィンランドの軍首脳が集まった場で「米国がウクライナをどう支援するか」との問いに対し、このように答えたとされる。
これは米国がウクライナの安全保障責任を欧州に押し付け、「後退」している最も明確な兆候の一つと解釈される。
先日、トランプ大統領は前日のフォックスニュースのインタビューでウクライナへの米軍派遣の可能性を否定しつつ、米国が検討できる安全保障オプションとして「空中支援」を挙げていた。
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