
日本人投資家であるソフトバンクグループ会長の孫正義氏が、トランプ米政権にとって信頼できる「日本通」として存在感を高めていると英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。
FTは25日付(現地時間)の記事「ソフトバンクの孫正義はどうやってトランプに寵愛される海外投資家となったのか」の中で、孫会長がトランプ大統領と緊密な関係を築いた背景を分析した。
記事によると、孫会長は巨額の投資や雇用創出を繰り返し約束することで、トランプ大統領に対し慎重かつ粘り強いアプローチを続け、両者の間に「非公式な外交チャンネル」が形成されたとされる。
米民間の対日外交団体「ジャパン・ソサエティ」のジョシュア・ウォーカーCEOは「ワシントンでは、トランプ大統領やその側近にとって孫正義氏は日本問題を担う『頼れる人物(Go-to guy)』とみなされている」と述べた。
FTはまた、孫会長とトランプ大統領が「反エスタブリッシュメント的な気質」と「巨額の財を成した経歴」という共通点を持ち、事業スタイルも似通っていることが相性の良さにつながったと分析した。米企業幹部の一人は「孫会長は大規模な交渉を恐れない人物で、大型不動産開発業者であるトランプ大統領と本質的に大差ない」と語り、「トランプ大統領の判断基準は常に米国の商業的利益であり、孫会長は早くからそれを見抜いていた」と証言している。
孫会長はトランプ政権1期目にニューヨークのトランプ・タワーで500億ドル(約7兆3,873億3,900万円)の投資を表明し、昨年のトランプ大統領の再選後には追加で1,000億ドル(約14兆7,746億7,800万円)の投資を約束した。
さらに米テクノロジー企業のオープンAIやオラクルとともに、5,000億ドル(約73兆8,780億9,000万円)規模のAIインフラ構築プロジェクト「スターゲイト」を主導している。こうした積極策を背景に、ソフトバンク株は年初来で60%以上急騰している。
孫会長は個人的にも、トランプ大統領と複数回にわたりゴルフを共にし、ホワイトハウスを訪れるなど親交を深めてきた。FTは「米国の権力者と近しくなければ自身の野心は実現できないと孫会長は理解しており、その行動はAI産業の主導権確保を狙うソフトバンクの戦略とも一致している」と指摘する。
一方で、孫会長がトランプ大統領と日本の間で「門番」の役割を担うことへの懸念も強まっている。日本のある高位外交官は「官僚や政治家が関与しない最高レベルの議論が進むのは不快に感じられる」と語った。
ウォーカーCEOも「誰もが孫会長と日本の成功を望んでいるが、重要な関係が一人に集中するのはリスクがある。もし関係が破綻すれば、計り知れない波紋を呼ぶ」と警鐘を鳴らしている。
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