「中国人留学生のビザ取消」から一転、トランプ米大統領の受け入れ発言に支持層が反発

米国のドナルド・トランプ大統領が、当初は中国人留学生のビザを取り消す意向を示していたものの、一転して「60万人の学生を受け入れる」と発言したことで、支持層から強い反発を招いている。米政治専門メディア「ザ・ヒル」が26日(現地時間)に報じた。
トランプ大統領は前日、ホワイトハウスで開かれた米韓首脳会談後に「我々は中国と良好な関係を築くだろう」と述べ、「中国人留学生を受け入れないとの話があるが、受け入れるつもりだ」と語った。
さらにトランプ大統領は「60万人の学生、彼らは非常に重要だ」と付け加えた。
この発言は、今年5月末にマルコ・ルビオ国務長官が発表した「中国人留学生に対する大規模なビザ取り消し方針」からの180度の方針転換となる。当時ルビオ長官は声明で、中国共産党と関連を持つ学生や「重要分野を専攻する」中国人学生が対象になると説明していた。
トランプ大統領は6月にロンドンで開かれた米中高官協議後も、SNSに「私は常に中国人留学生の受け入れに前向きだ」と投稿し、ビザ取り消しの意志を示していた経緯がある。
米国務省教育文化局と国際教育研究所が発表した「オープンドア」によれば、2023年から2024年度に米国の大学で学ぶ中国人留学生は約27万7千人で、全外国人留学生の約4分の1を占めていたという。トランプ大統領が言及した「中国人学生60万人」という数字は、実際の在籍数の2倍以上に上ると推定される。
こうした発言の背景には、中国人留学生を積極的に受け入れることで、財政難に直面する米大学を下支えする狙いがあるとみられる。
しかし、トランプ大統領の支持基盤である「MAGA(Make America Great Again・米国を再び偉大に)」層からは強い反発が起きている。ザ・ヒルによれば、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党・ジョージア州)はXに「中国共産党に忠誠を誓う恐れのある60万人の中国人学生を米国の大学に受け入れるべきではない」と投稿した。「なぜ米国人学生の席を奪う中国人学生を受け入れる必要があるのか。断じて許されない」と批判した。
さらに、MAGA陣営で影響力のある極右系ユーチューバー、ローラ・ルーマー氏もXで「共産党のスパイ活動を担うとも言われる中国人学生60万人を望む米国人はいない」と反発した。
トランプ大統領は同日、閣議後の記者団の質問に対し「私は中国人を含め外国人学生が米国に来ることを歓迎する」と述べ、「彼らが来なければ米国の大学制度は急速に崩壊する。影響を受けるのは名門大学ではなく、経営難にあえぐ大学だ」と強調した。
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