「米FRB、9月に利下げへ 先行きは不透明」WSJ報道

米連邦準備制度理事会(FRB)は、今月の利下げがほぼ確実視されているものの、今回の会合での利下げ幅やその後の金利の行方は不透明になったと、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
パウエルFRB議長は先月22日のジャクソンホール・シンポジウムで「政策が引き締め領域にある中、基本的な見通しと変化するリスクのバランスから、政策スタンスの調整が必要になる可能性がある」と述べ、9月会合での利下げに含みを持たせた。
シカゴ商品取引所のフェドウォッチによると、FF金利先物市場は今月の0.25%ポイント利下げの確率を87.4%、据え置きの確率を12.6%と織り込んでいる。
一方、リサ・クックFRB理事が「住宅ローン詐欺疑惑」を理由とするトランプ大統領による解任に異議を申し立てており、ワシントンDC連邦裁判所が先月29日に審理を開始したが、クック理事が16~17日の連邦公開市場委員会(FOMC)に参加できるかは依然不透明だ。
FOMCは大統領任命の理事7名と地域連銀総裁5名の計12名で構成される。仮に裁判所が解任を正当と判断しても、今月の会合までに後任の承認が完了する可能性は低い。このため、出席が不透明なクック理事を除けば、出席予定の理事はバイデン前大統領任命の3名とトランプ大統領任命の3名に分かれる構図となる。
ドイツ銀行の米国チーフエコノミスト、マシュー・ルチェッティ氏は「今後のFOMC会合では、多数意見に反対する声が定期的に出ても不思議ではない」と指摘した。WSJは、公開での反対票は今後数か月の金利の主導権を巡って投資家を混乱させる可能性があると分析している。
また、エバーコアISJのクリシュナ・グハ副会長は「パウエル議長は今後の会合で、FRBを巡る圧力や論争をできる限り遮断しようとするだろう」と予想した。
さらに、来年5月に任期満了を迎えるパウエル議長の後任候補者がメディアで相次いで利下げを主張していることも、不確実性を一層高めているとWSJは指摘した。
パウエル議長は、労働市場に追加的なリスクが生じれば今後の政策調整を正当化する要因になると示唆しており、FRBは今回の会合を前に、4日に発表される8月雇用統計で労働市場の最新データを確認する予定だ。
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