
中国北京経済技術開発区にあるシャオミの電気自動車製造工場「EVファクトリー」では、1日あたり1000台の電気自動車が生産されている。2023年8月に完成した同工場では、過去15か月間で累計30万台が出荷された。これはニオやエクスペン、ニオトといった中国主要電気自動車メーカーの年間出荷台数5万~10万台と比べても圧倒的に多い。シャオミは2021年に電気自動車産業参入を宣言してからわずか4年で、SU7、SU7ウルトラ、YU7の3車種を発表した。SU7は2024年4月、中国EV市場で販売台数首位を記録した。世界第3位のスマートフォンメーカーであるシャオミが、自動車業界の新星として浮上した瞬間だった。

シャオミが急速に市場に定着できた背景には、ロボットを活用した高度な自動化工程がある。先月28日にEVファクトリーを訪れると、整然と稼働する産業用ロボットがまず目に入った。移動ロボットが部品を各工程の棚へ運び、アーム型ロボットが車内部品を組み立てていた。シャオミ関係者は「参入当初から、自動化工程が事業の成否を分けると考えていた」と述べ、「スマートフォン事業では製造を外部に委託したが、電気自動車では自社製造に挑んだ」と説明した。
象徴的なのが「ハイパーキャスティング」工程である。特殊アルミ合金を超大型ダイカスト機で一体成形する方式で、従来の分業型製造よりも高速かつ低コストでの生産が可能だ。シャオミが開発した「ハイパーダイカスティングT9100」は9,100トンの圧力に対応できる。先に同方式を導入したテスラの設備は6,100トン規模であり、シャオミはこれを大きく上回った。
車体ドアやフェンダーを製造するプレス工程も生産力強化につながっている。ロボットが自動で車体を搬送し、4秒で最大2枚のパネルを生産する。従来は人手に頼っていたドア組み立ても完全に自動化された。工場には419台のロボットが導入され、自動化率は91%に達する。6段階の主要工程のほとんどをロボットが担っており、工場内で人の姿を見かけるのは難しいほどだ。
シャオミ関係者は「目標は『全工程自動化』だ」と強調し、「2027年までに、すべての生産過程をリアルタイムで感知・分析・修正できる工程知能化システムを導入する」と述べた。
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