
テスラのイーロン・マスクCEOは、ヒト型ロボット「オプティマス(Optimus)」がテスラの価値の80%を占めると述べ、ロボットを中核にする新たなビジョンを示した。英誌フォーチュンによれば、マスクCEOはある日、ソーシャル・メディア「X(旧Twitter)」で「テスラの価値の80%は最終的にこのロボットから生み出される」と発言したという。さらに、「オプティマスは2021年に導入され、人間には困難で危険な工場作業を代替するよう設計された」と説明した。
この発言は、同日に発表された「マスタープラン・パートIV(Master Plan・Part IV)」と合わせて、テスラの今後の方向性を示すものだ。同プランでは、「我々は、想像し始めたばかりの世界を実現し、前例のない規模で展開する」とし、「AIを物理的世界に融合させた製品とサービスの構築に取り組んでいる」と明らかにした。
今回の計画で、マスクCEOは電気自動車よりもロボットに重点を置く新戦略を示した。ザックス・インベストメント・リサーチの株式ストラテジスト、ケビン・クック氏は、「マスクCEOは15年間にわたりテスラ車にAIシステムを導入してきた。それを自然に他の自律機械へと拡張している」と評価した。クック氏は「マスクCEOだけがロボットと物理AIの未来を見据えているわけではない」とも付け加えた。実際、技術業界全体で、特化型ロボットへのAI搭載が重要な課題として浮上している。
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは最近、ロボット用の「頭脳」開発キットを発売し、「物理AI(Physical AI)」をAI進化の最終段階に位置づけた。マスクCEOがオプティマスを強調するのも、同様の戦略的意図があるとみられる。フォーチュン誌は、テスラが電気自動車販売の急減を受け、事業多角化に注力していると分析した。テスラのEU域内7月納車台数は40%急減し、2025年上半期の世界販売台数は前年比13%減、2年連続の販売減少が予想されている。
一方、ヒューマノイドロボット市場での競争は激化している。モルガン・スタンレー・リサーチは今年5月、ヒューマノイド市場規模が2050年に5兆ドル(約744兆2,218億円)に達し、今後25年以内に10億(約1,488億4,436万円)台のロボットが使用される可能性があると予測した。米ヒューマノイドロボット企業「フィギュアAI(Figure AI)」は2022年の創業以来、ジェフ・ベゾス氏のベゾス・エクスペディションズ、インテル・キャピタル、マイクロソフト、エヌビディアなどから7億ドル(約1,041億9,105万円)以上の投資を受けている。
また、カリフォルニア州を拠点とする「Kスケールラボ(K-Scale Labs)」は今年、1台9,000ドル(約133万9,695円)のロボットを開発した。これはオプティマスの予想価格の半分以下となる。クック氏は「ロボット分野では、マスクCEOの競合が増加している。数十のスタートアップが低価格でオープンソースのロボットを開発中で、フィギュアのような大手企業も参入しており、厳しい競争が予想される」と指摘した。
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