
米国の政策不透明感が強まる中、7月の求人件数が10カ月ぶりの低水準に落ち込み、労働市場の減速が一段と鮮明になった。これにより、9月の利下げ観測は一層高まっている。
米労働省が3日(現地時間)発表した7月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数は718万人に減少した。6月分も736万人に下方修正された。
米『ブルームバーグ』がエコノミストを対象に行った調査の中央値は738万人だった。
上昇傾向にあった米国債利回りは雇用関連指標を受けて下落幅を拡大。10年物国債利回りは4.221%と5.2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、2年物も4.8bp下げて3.61%となった。
業種別では、ヘルスケアや小売、レジャー・接客業で求人減が目立った。中でも今年の雇用増加を牽引してきたヘルスケア分野の求人件数は2021年以来の低水準となった。
一方、解雇件数は昨年9月以来の高水準を記録し、特に建設業で大幅に増加した。
求人減少は企業がトランプ大統領の通商政策が経済に及ぼす影響を見極めるため、採用計画を先送りしていることを示唆する。求人件数だけでなく、採用ペースも鈍化しており、失業者が新たな職を見つけるまでの期間も長引いている。
労働需要と供給のバランスを示す指標として注目される「失業者1人当たりの求人件数」は1と、2021年以来の低水準となった。2022~2023年には失業者1人に対して求人が2件あった。また、自発的離職率は2%で横ばいだった。
雇用統計の低迷を受け、9月の利下げ観測はさらに強まった。ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先月のジャクソンホール会議で「雇用の下振れリスクが高まっている」と述べ、9月の政策会合で利下げを示唆していた。
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