
米国のドナルド・トランプ大統領は4日(現地時間)、日本製自動車の関税引下げを盛り込んだ大統領令に署名したとホワイトハウスが発表した。これにより、米国内における日本製自動車の関税率は、従来の25%から12.5%に引き下げられ、既存の税率2.5%と合わせ、最終的な税率は15%になる。今回の措置には、米日間の相互関税負担軽減を日本に適用する内容も含まれており、既存の税率と合わせて15%が上限になる。
赤澤亮正経済再生担当相は同日、米ワシントンでハワード・ラトニック米商務長官らと会談し、自動車関税の引下げおよび日本の5,500億ドル(約81兆4,771億円)規模の対米投資計画について協議したとされる。米国が日本製自動車に課していた27.5%の関税を15%に引き下げることで、日本の主要自動車メーカーは来年3月期(2025年4月~2026年3月)の決算で黒字転換が可能になるとの見方も出ている。
最近、ホンダは2026年3月期の純利益予想を2,500億円から4,200億円へと上方修正した。これは米国の自動車関税引下げにより減益幅が縮小した影響だ。ホンダの藤村英司CFOは決算発表会で、「高関税が新常態となる可能性を前提に、構造的な対応が必要だ」と述べた。ゴールドマン・サックスは、日本の自動車メーカー7社の関税負担が3兆4,700億円から1兆8,900億円へと約半減し、営業利益の減少率も47%から25%程度に緩和されると分析している。トヨタは1兆6,000億円から8,720億円、日産は4,700億円から2,560億円にそれぞれ減少すると予想されている。
ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は、「15%という数字は企業の自助努力で対応可能な水準であり、自動車産業だけを見れば勝利と言っても過言ではない」と評価した。しかし、業界全体は依然として危機モードだ。まず、為替リスクが大きい。自動車メーカーの多くは「1ドル=145円」を基準に収益を試算しているが、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が高まる中、円高への転換懸念が強まっている。
部品業界の苦境も深刻だ。トヨタなど10社の国内サプライチェーンには6万8,000社の企業が連なっており、特に中小部品メーカーは原価上昇分を納入価格に反映させるのが難しいと指摘されている。
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