
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が再び一線を越えた。2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以来、最大規模の空爆が行われた。ロシアは6日(現地時間)の夜から7日未明にかけて、ウクライナの首都キーウを含む全土に大規模なドローン(無人機)およびミサイル攻撃を実施した。
ウクライナ空軍によると、ロシア軍は今回の攻撃でドローン805機とミサイルなど計823発を発射したという。特にキーウの政府庁舎が攻撃を受け、大規模な火災と多数の民間人犠牲者が発生した。開戦以来、ウクライナの政府庁舎が空爆を受けたのは今回が初めてである。


ウクライナのユリヤ・スヴィリデンコ首相は「政府庁舎が初めて敵の攻撃を受け、屋上と上層階が破壊された」と述べ、内部の様子を公開した。政府庁舎内は元の形状が認識できないほど完全に廃墟と化していた。
SNSには、攻撃を受けた庁舎上層階が炎に包まれ、黒煙が立ち上る映像が多数投稿された。スヴィリデンコ首相はテレグラムで、庁舎で発生した火災の消火に命がけで当たる救助隊員たちの姿を捉えた映像も公開した。
今回の攻撃は、米国のドナルド・トランプ大統領が仲介するウクライナ戦争終結交渉に対して、プーチン大統領が明確な意思を示したものである。
プーチン大統領は先月中旬、米アラスカでトランプ大統領と首脳会談を実施した。プーチン大統領は米国側が用意したレッドカーペットを踏みながら盛大な歓迎を受け、トランプ大統領と終始和やかな雰囲気を演出した。
しかし、トランプ大統領やウクライナ、欧州の期待とは裏腹に、プーチン大統領は自身の利益のみを追求し、「マイウェイ」を貫いた。トランプ大統領がロシアに対する追加制裁に言及し圧力をかけたが、プーチン大統領は一歩も譲歩しなかった。

むしろプーチン大統領は、3日に北京で行われた中国の戦勝80周年記念式典に出席し、「反西側路線」を内外に宣言した。当時プーチン大統領は記者会見で、「ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が(ロシアの首都)モスクワに来れば、彼と会談する用意がある」と述べた。これは戦争中の相手国の元首に自国の首都へ来るよう求めることが、事実上の降伏要求に等しく、現実味に欠ける「アクション」に過ぎない。
一部からは、欧州が戦争終結後のウクライナの安全保障のために軍隊を派兵する可能性に言及したことに対し、ロシアが反発し、即座に対応する形で開戦以来初の政府庁舎空爆を敢行したとの分析もある。
ゼレンスキー大統領は5日、ウクライナ西部ウージュホロドで欧州理事会のアントニオ・コスタ議長と会談した後、ウクライナの安全保障のため、戦後ウクライナに駐留する西側主要国軍の規模は「数千人規模でなければならない」と述べた。
今回の空爆は、2022年2月の開戦以来最大規模とされる。特に今年7月8~9日に実施されたドローンとミサイル計741発を大きく上回る規模であることから、さらなる懸念が高まっている。

ウクライナ軍によると、この日ロシア軍は巡航ミサイル「イスカンデルK」や弾道ミサイル「KN-23」などを発射したという。ウクライナの防空網はこのうち751発を撃墜または電波妨害によって無力化したが、ミサイル9発とドローン56機が防衛網を突破し、37の地域を攻撃したとされる。ウクライナ当局は、この攻撃により2名が死亡し、少なくとも17名が負傷したと発表した。スヴィリデンコ首相は「ロシアの攻撃で崩壊した建物は修復可能だが、人命の回復は不可能だ」と述べた。
ゼレンスキー大統領は「初期情報によると、複数のドローンがウクライナとベラルーシの国境を越えた」とし、「キーウの他にもザポリージャ、クルィヴィーイ・リーフ、サポニフカ、スームィなどが空爆で被害を受けた」と明らかにした。さらに「このような虐殺は意図的な犯罪であり、戦争の延長に過ぎない」と述べ、「米国は対話拒否には制裁が伴うと繰り返し強調してきた」と、米国による対ロ制裁強化を促した。
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