「トランプ関税の影響で」米健康保険料、15年ぶりの大幅引き上げへ
経済の不確実性と医薬品関税が主な要因
「関税の代償は市民が負う」と批判

米国で来年、健康保険料が15年ぶりに大幅に引き上げられる見通しだという。保険会社は、ドナルド・トランプ米大統領による関税政策による経済の不確実性や、医薬品関税による薬価の上昇を保険料に反映せざるを得ないと主張している。また、オバマケアの税制優遇縮小も保険料上昇に影響を与えたとみられる。
7日(現地時間)、英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、米コンサルティング会社マーサーは「2026年に企業が従業員向け健康保険の提供に支出する費用は平均で6.5%上昇する」と予測しているという。これは15年ぶりの最大の上昇幅となる。また、個人で保険に加入する米国市民の負担も増える見込みだ。医療政策の非営利研究団体であるカイザー・ファミリー・財団(KFF)は、「個人加入者の来年の保険料中央値は18%で、昨年の7%の2倍以上」と指摘している。
保険会社側は、トランプ大統領の関税リスクを理由に保険料を引き上げる必要があると説明している。米保険大手ユナイテッドヘルスは規制当局に提出した書類で、「関税による不確実性」を保険料引き上げの理由として挙げた。トランプ大統領の医薬品関税も言及されており、トランプ大統領の意図どおりに製薬会社が生産拠点を米国内に移す場合、最終的な薬価が上昇する可能性があり、それを保険料に反映せざるを得ないという。トランプ大統領は輸入医薬品に最大200%の関税を課す可能性があると警告している。
さらに、トランプ大統領がオバマケアの補助金支給を延長しなかったことも保険料引き上げを後押ししたとの分析がある。ジョー・バイデン前大統領が強化したオバマケアの税制優遇や補助金は今年末で終了予定で、来年以降はオバマケア経由の加入費用も上昇する。KFFは「約2,400万人の市民がオバマケアに依存していた」と指摘し、「保険料が上がれば健康な加入者は離脱し、医療費のかかる加入者だけが残る可能性がある」と懸念を示した。
大幅な保険料引き上げは、すでに生活費高騰に苦しむ米国の家計にさらなる打撃を与えるとみられる。KFFのマット・マクゴフ政策分析官は、「人々は関税が医療費を上げるとは予想していなかっただろう」と述べ、「結局、今回も消費者が関税の代償を支払うことになる」と批判した。
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