
米国ノースカロライナ州シャーロットで、路面電車に乗車していた23歳のウクライナ難民女性が刺殺される事件が発生した。その最中、周囲の乗客が救助に動かず、スマートフォンで撮影する様子を収めた映像が公開され、全米に衝撃を与えている。
9日(現地時間)、デイリー・メールの報道によると、事件は先月22日、シャーロットのサウスエンドを走る路面電車内で起きた。被害者は2022年に戦火を逃れ米国に移住したイリナ・ザルーツカ(Irina Zarutska)さんだった。車内で突然、34歳の男デカロス・ブラウン・ジュニアに刃物で3度刺され、その場で死亡した。
公開された映像には、ザルーツカさんが刃物で刺され重傷を負って倒れているにもかかわらず、複数の乗客が携帯電話を構え続ける姿が映っていた。応急処置を試みたのは1人の男性のみで、シャツを使って止血しようとしたが、事件発生から1分40秒後の行動だったため、手遅れとなった。
ブラウン被告はその場で逮捕され、第1級殺人の罪で起訴された。その後、連邦テロ関連罪も加わり、有罪が確定すれば2006年以来となるノースカロライナ州での死刑執行だと報じられている。

被害者のザルーツカさんは事件当時、交際相手と同居しており、遺族は「彼女は米国を愛していた。この地に埋葬されることを望んでいたはず」として、遺体をウクライナに送還しない決断をした。
事件を受け、ドナルド・トランプ米大統領は「14回も逮捕歴がありながら釈放されていた凶悪犯によって惨殺された」と非難し、「民主党主導の都市で続いてきたあまい犯罪政策の結果だ」と強く批判した。
パム・ボンディ司法長官も「犯罪者を市民より優遇する司法政策の結果だ」と述べ、最大限の処罰を科す方針を示した。
ブラウン被告の前歴は2007年にさかのぼり、強盗や脅迫などの重罪で繰り返し逮捕されてきた。2014年には武装強盗罪で服役し、2020年に出所した後も、2021年の家庭内暴力や器物損壊、2022年の暴行事件などで再三摘発されている。今年1月には「911」への虚偽通報で起訴され、裁判を待つ中で今回の殺人事件を引き起こした。
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