
米国が、ロシア産石油を購入するインドと中国に対し、高率の関税を課すよう主要7か国(G7)に圧力をかけ始めた。これは、ロシア・ウクライナ戦争の終結を目指し、ロシアを交渉の場に引き込む試みの一環である。
Newsisの報道によると、11日(現地時間)、フィナンシャル・タイムズ(FT)は情報筋の話として、G7の財務相が12日に開催される電話会議で米国の提案を議論する予定だと伝えたという。米国のドナルド・トランプ大統領は、戦争終結に向けてロシア産石油を購入する国への全方位的な圧力を強化している。今週初めには欧州連合(EU)に対し、中国とインドに最大100%の関税を課すよう要請しており、この動きはG7同盟国にも拡大している。
米財務省の報道官は「中国とインドによるロシア産石油の購入は、プーチン政権の戦争マシンを支え、ウクライナ国民への無意味な殺戮を長引かせている」と述べ、「EU加盟国も戦争終結のため関税を課すべきであり、戦争終了と同時に関税は撤廃される」と明言した。さらに「トランプ大統領の『平和と繁栄の政権』は準備を整えており、G7同盟国も共に行動すべきだ」と強調した。報道官は具体的な関税率については明かさなかったが、情報筋によれば米国は50〜100%の関税を提案しているという。
米国は先月、インドによるロシア産石油購入を理由に、インド産輸入品への関税を50%に引き上げた。また、4月には中国産輸入品に対して三桁の高率関税を課したが、市場の反発を受け5月に一部撤回している。EUの当局者らも、中国とインドへの二次制裁の必要性には同意しているが、両国との密接な貿易関係や経済的打撃を懸念し、積極的な対応には踏み切れていない。
EUはその代わりに、ロシアのエネルギー生産者に対するより厳しい制裁や、2027年に予定されているロシア産石油・ガス輸入停止期限の前倒しなどで、同様の圧力をかけられると米国を説得しようとしている。しかし、欧州側の関係者3名によると、これにはハンガリーやスロバキアといった親ロシア傾向の加盟国に対するトランプ大統領の説得が必要だという。これらの国は依然としてパイプラインでロシア産石油を購入しており、過去にもEUの厳しい制裁を拒否してきた。
EUのエネルギー担当欧州委員であるダン・ヨルゲンセン氏は同日、米エネルギー長官のクリス・ライト氏と会談し、ロシア産の液化天然ガス(LNG)を米国産に切り替える案を協議した。彼は「ロシアのエネルギー依存をできるだけ早く終わらせるべきだ」と述べた。現在、EUはガス輸入のおよそ5分の1をロシアに依存しており、これは2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻前の45%から大幅に減少している。
一方、G7議長国のカナダは、6月にアルバータで開催された首脳会議に続き、今回の財務相電話会議を米国との協議を踏まえた後続措置だと位置づけている。これは、米国主導のロシア圧迫戦略がG7の公式議題として浮上する背景に、カナダ側の調整があったことを示唆している。
コメント0