デフレ懸念強まる中、中国当局が養豚業者に「母豚削減計画」を要請

豚肉価格が25%暴落、苦肉の策として母豚削減へ
8月消費者物価指数、予想上回り0.4%下落
豚肉だけでなく野菜・卵の価格も大幅に下落
デフレの兆候の原因は消費低迷と景気後退
中国の消費者物価指数(CPI)がマイナスに転じるなどデフレーション(景気後退下の物価下落)懸念が高まるなか、中国当局が物価下落を食い止めるための対策に乗り出した。
中国の食卓に欠かせない豚肉の価格維持のため、養豚業者に対し母豚(繁殖用の雌豚)の削減計画を提出するよう通知したという。
11日(現地時間)、ブルームバーグ通信によると、中国農業農村部は最近、武漢に本社を置く牧原食品や温氏食品集団など25社の養豚・販売業者に対し、16日に会合を開き、生産管理計画やこれまでの対応策を報告するよう求めた。
農業農村部の畜産局はさらに、今年1月までの母豚削減目標の詳細と、来年の生産計画も合わせて提出するよう指示したとされる。会議には中国のマクロ経済政策を担う国家発展改革委員会(発改委)の関係者も出席する予定だという。ただし、農業農村部はブルームバーグのコメント要請には応じていない。
世界最大の豚肉生産国である中国では、供給過剰と景気低迷の影響で、過去12カ月間に豚肉価格が約25%暴落した。
特に7月時点で1キロ当たり15元(約310円)前後だった価格は、先月には14元(約289円)を下回った。
北京の農畜産調査会社・博亜和訊によると、10日時点の全国平均価格は三元交雑種豚で1キロ当たり13.33元(約276円)となり、前日比0.05元(約1円)下落して年初来の最安値を更新した。
中国では、食料品を中心に物価下落傾向が顕著となり、デフレ懸念は一段と高まっている。8月のCPIは前年同月比0.4%下落し、ロイター通信が専門家予想として集計したマイナス0.2%を上回る下げ幅を記録した。特に食品価格が4.3%下落し、豚肉が16.1%値下がりして全体の押し下げ要因となった。
こうした状況のなか、中国当局が豚肉生産量削減への意欲を示したことで、養豚関連銘柄は上昇した。この日、牧原食品の株価は一時7.5%高、温氏食品集団は6.6%高となり、活発な動きを見せた。
しかし、豚肉価格の下落にとどまらず、野菜などの生鮮食品や鶏卵の価格も大幅に下落していることから、仮に豚肉価格を維持したとしても全体的な物価下落の流れを覆すのは難しいとみられる。背景には過当競争もあるが、根本的な要因は消費の冷え込みであり、その背景には景気低迷による所得停滞や失業率の上昇があると指摘されている。
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