ロシア国営企業による原発新設を目指すハンガリー、EU最高裁が制止
「ロシア企業ロスアトム、入札なしで受注…EU規則順守は不透明」
エネルギー依存度高いハンガリー 「親ロ派オルバーン政権に圧力」

欧州連合(EU)の最高裁に当たる欧州司法裁判所(ECJ)はロシアがハンガリーで進める原子力発電所建設計画に対するEUの承認を取り消したと、英紙『フィナンシャル・タイムズ』が11日(現地時間)に報じた。
ハンガリー政府が公開入札手続きを経ずにロシア国営原子力企業ロスアトムと結んだ契約が、EUの調達規則を順守しているか不透明だと判断されたためだ。
この日ECJは、欧州委員会がロスアトム建設の新型原子炉2基に対するハンガリーの補助金計画を承認した際、EUの公共調達規則を考慮すべきだったと指摘した。
同裁判所は「欧州委員会は入札手続きを経ずに行われた直接契約がEUの公共調達規則に適合しているかを確認すべきだった」とし、「委員会は適法と判断したが、十分な根拠を示さなかった」と述べた。
ハンガリーは2014年にロスアトムとパートナーシップを締結し、パクシュ原発敷地に2ギガワット(GW)規模の原子炉を追加建設する計画を立てた。このプロジェクトは遅延を経て2022年に着工し、2030年代初頭の完成を目指している。
ロスアトムが主導するこの計画にはフランスやドイツの企業を含む複数のグローバル企業が下請けとして参画している。ただし中核となるのは、ロシアのニジニ・ノヴゴロドのエンジニアリング企業が製造する原子炉2基である。
ハンガリー政府は原発建設計画を継続する方針で、公共調達および国家補助金の要件を満たすことを証明するため欧州委員会と協力すると表明した。
ヤーノシュ・ボーカEU担当相は記者会見で「裁判所はこの計画が公共調達規則を満たさないと判断したのではなく、根拠の提示が十分でなかったと指摘したにすぎない」と強調。そのうえで「数年前の別の手続きではこの点が確認されていたが、今回の判断には反映されなかった。ただし、現在のペースで原発投資を続けられない法的理由はない」と述べた。
欧州委員会は「判決を精査し、今後の措置に反映させる」との声明を出した。
EU域内でハンガリーはロシアへのエネルギー依存度が高い国とされる。
ハンガリー唯一の原発であるパクシュ原発は1980年代からロシア製原子炉4基を保有し、自国電力需要の約40%を供給している。
他の東欧諸国が旧ソ連時代の原発インフラを改修する際に西側技術を導入したのに対し、ハンガリーはロシアとの協力を貫いてきた。
特にオルバーン・ヴィクトル首相は2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降も強硬な対ロ制裁に反対するなど、親ロシア的な姿勢を鮮明にしてきた。
『FT』は「今回の判決はオルバーン首相にとって敏感な時期に下された」とし、「同氏はロシア・ウクライナ戦争にもかかわらず、ロシアへのエネルギー依存を維持しようとする姿勢で一層強い圧力に直面している」と伝えた。
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