ヨーロッパの3大航空宇宙企業が、衛星事業統合に向けた動きを見せている。これは、イーロン・マスク氏率いるSpaceXの衛星インターネットStarlinkに対抗する狙いだ。

フランスの日刊紙ル・モンドは現地時間15日、フランス、ドイツ、スペイン合同のヨーロッパ最大の航空宇宙企業であるエアバスをはじめ、フランスのタレス、イタリアのレオナルドが衛星事業統合を進めていると報じた。
タレスとレオナルドは、2007年からタレス・アレーニア・スペース(衛星製造事業)およびテレスパツィオ(衛星通信サービス)を通じ、宇宙分野で協力してきた。これにエアバスが加わると、企業総売上高は60億ユーロ(約1兆398億8,406万円)以上、企業価値は100億ユーロ(約1兆7,331億4,010万円)に達するとロイター通信が伝えている。
3社の衛星事業統合は、米国のStarlinkが世界の低軌道(地球から約800㎞)衛星通信市場を急速に支配していることが背景にある。従来、ヨーロッパの衛星製造業者は、フランスのEutelsatやルクセンブルクのSESといった通信・放送事業者向けに、地球静止軌道(地球から3万6,000㎞)用の大型衛星を受注生産してきた。
業界関係者は、衛星事業の統合が今年中に実現するとの見通しを示している。エアバス防衛産業・宇宙担当役員のマイケル・ショールホーン氏は、イタリアのコリエーレ・デラ・セーラでのインタビューで「この手続きはまず協力を誓う署名、その後、協定締結という二段階が必要だ」と述べ、「署名は今年中に行われる見込みだ」と語った。
ル・モンドは、3社とも合併の必要性を認める一方で、企業間の持株比率や経営権を巡る対立など、依然として多くの障害が残ると指摘している。特に、過去のエアバスの例が示すように、経営陣の国籍がヨーロッパ諸国間で深刻な政治的緊張を招く可能性があると展望している。
また、3社が衛星事業を統合するには、ヨーロッパの反トラスト当局の承認も必要となる。これについて、エアバスのギヨーム・フォーリィCEOは昨年2月、「従来とは異なる視点で審査してほしい。ヨーロッパ内の競争ではなく、グローバルな競争環境に焦点を当てるべきだ」と訴えている。
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