
「ドナルド・トランプ大統領の腹心」、「関税政策の設計者」と呼ばれるホワイトハウス国家経済委員会(NEC)のスティーブン・マイロン委員長(42)が米連邦準備制度理事会(FRB)の理事に就任した。
米上院は15日(現地時間)、マイロン氏をFRB理事に承認した。昨年8月にアドリアナ・クーグラー理事が突然辞任した後、トランプ大統領が後任に指名していたもので、マイロン氏は承認公聴会を経て理事に就いた。
現職の政権幹部が同時にFRB理事を務めるのは、1930年代に現代的な制度としてFRBが整備されて以来、初めてとなる。任期は前任者の残余期間である来年1月31日までで、その間ホワイトハウスの職務は「無給休職」となる。
米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』は「ウォール街では無名に近かったハーバード大出身の経済学者が、米金融政策の最上層に急浮上した」とし、「トランプ大統領の積極的な利下げ圧力の真っただ中に立つことになる」と論評した。マイロン氏は昨年8月にNEC委員長に就任して以降、「経済ブレーン」と見なされてきた。昨年11月には米国の貿易・財政赤字解消策として、懲罰的関税の導入や為替調整によるドル安誘導を提案する、いわゆる『マイロン報告書』を発表し、トランプ政権の関税政策を裏付けた。
マイロン氏は2005年にボストン大学を卒業後、2010年にハーバード大で経済学博士号を取得。ウォール街で債券・為替アナリストとして勤務した後、ニューヨークのヘッジファンド「ソバナム」に入社した。この経験を通じて、マイロン氏は中国の人民元切り下げが各国製造業を破壊したとの政治的見解を強めた、と『WSJ』は分析している。
2020年には財務省入りしたが、トランプ氏が大統領選で敗れた後に投資運用会社アンバーウェーブ・パートナーズを設立した。この会社はその後ヘッジファンドに転換したが、資金調達難で2023年末に閉鎖した。この失敗をきっかけに「MAGA(アメリカを再び偉大に)」陣営で存在感を高め、経済政策に関する論考を各メディアに寄稿するなど理論家としての地位を固めた。
マイロン氏は16~17日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)に参加し、利下げの是非をめぐる決定に初めて投票する。市場では0.25%ポイントの利下げが見込まれているが、『WSJ』は「一部のアナリストは、彼がより大胆な利下げを支持する少数意見を提示する可能性がある」と伝えている。
コメント0