「赤ちゃん用靴下で避妊?」ドナルド・トランプの影響で「エイズ(HIV)」非常事態に陥ったジンバブエ
ドナルド・トランプ政権、米国国際開発庁(USAID)を事実上解体へ
サブサハラ・アフリカへの医療支援が途絶
ジンバブエ「HIV予防」用避妊具が不足
赤ちゃん用靴下が避妊具として使用され…HIVによる死亡者が増加

ドナルド・トランプ米政権が途上国への医療支援を打ち切った影響で、アフリカ有数の貧困国であるジンバブエでコンドーム不足による医療危機が現実化しているということが明らかになった。
女性が望まぬ出産やそれに伴う死亡、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)など性感染症の蔓延が懸念される中、女性たちは妊娠を避けるために不適切な方法で避妊を試みているという。
15日(現地時間)AFP通信やBusiness Insider Japanなどのメディアは、米国務省傘下の国際開発庁(USAID)はこれまでアフリカ・サハラ砂漠以南の貧困国に対し、コンドームや避妊薬、子宮内避妊器具(IUD)な万どを支援してきたが、現在は約1,100万ドル(約16億2,000万円)相当の物資が倉庫に積まれ、廃棄される見通しとなっていると報じた。
これは、トランプ政権が『アメリカ・ファースト』を掲げて海外援助を大幅に削減した結果である。トランプ氏は就任直後、USAIDを「腐敗と詐欺の温床であり、敵対国を支援している」と非難し、機関の地位を引き下げるなど事実上の解体に着手していた。
「コンドームや避妊薬などが倉庫に山積みになっており、廃棄の段階にある」ということよりサハラ砂漠以南のアフリカ諸国など低開発国への医療支援も事実上途絶し、その余波で各国は食糧や医薬品、ワクチン、避妊具などが不足し、医療危機に直面しているのだ。
代表的なのがジンバブエである。ジンバブエは昨年「脆弱国家指数」で世界179か国中18位に入るなど、社会・経済・保健が極めて不安定な国とされている。特に、避妊に対する意識も低く、世界でもHIV感染者数が多い国の一つで、少女や難民キャンプの女性たちは望まぬ妊娠のリスクにさらされている。
ジンバブエのシンクタンクである人道主義分析センター(CHA)によると、米国はこれまで5億2,200万ドル(約765億円)の医療援助を提供し、そのうち9,000万ドル(約130億円)がHIV予防に充てられていたという。
しかし支援の途絶により医療危機は現実化している。ジンバブエ政府は、今年上半期のHIV関連死亡者は5,932人で、前年同期(5,712人)から増加したことを明らかにした。
AFP通信によると、経済不安が続くジンバブエでは、約4万人の女性が売春で生計を立てており、コンドームが入手できないため、コンドームと同サイズの赤ちゃん用靴下で避妊具代わりに使っているという。
売春婦のシャロン・ムカカンハンガさん(43)は「米国の避妊支援がが途絶えてから絶望し、赤ちゃん用靴下をコンドーム代わりに使い始めた」とAFP通信に語った。
HIV陽性と診断された売春婦セシリア・ルスビジョさん(47)は「赤ちゃん用靴下が安全でないことは分かっているが、4人の子を養うためには仕方がない」とし「男性もHIVにさらされているが、気にしていない様子だ」と述べた。
国境なき医師団(MSF)など民間団体が運営する保健所には、コンドームや緊急避妊薬を求める女性たちが列をなし、深刻な物資不足に直面している。MSF関係者はAFP通信を通じて「HIVによる死亡者増加には、米国の援助削減が影響していることは否定できない。代替供給源が見つからなければ、状況はさらに悪化するだろう」と説明した。

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