
英王室は国賓として訪問した米国のドナルド・トランプ大統領を盛大に迎えた。トランプ大統領とメラニア夫人は17日(現地時間)、ロンドン近郊のウィンザー城で国王のチャールズ3世、カミラ王妃、ウィリアム皇太子、キャサリン皇太子妃の歓迎を受けた。英王室は儀仗隊に英軍1,300人と馬120頭を動員し、王立空軍アクロバットチームのレッドアローズが編隊飛行でウィンザー城上空を飛行した。
米大統領が英国を2度目の国賓訪問するのは初めてのことである。英王室は外国の国家元首を2期目に国賓招待しない慣例を破った。トランプ大統領は初任期中の2019年6月、エリザベス2世女王の招待により英国を国賓訪問している。英国がトランプ大統領のためにいかに労力を惜しまなかったかがうかがえる。
豪華な金メッキの馬車に乗り、王室近衛隊の護衛を受けながらウィンザー城に入ったトランプ大統領は、セントジョージ礼拝堂を訪れ、そこで埋葬されているエリザベス2世女王の墓に献花した。米CNNは「儀仗隊、騎兵隊、最高級の銀食器など、王室の華やかな歓迎式は英国の最も強力な外交手段のひとつだ。英国はトランプ大統領の心をつかむ方法を熟知しており、王室はその努力を惜しまない」と指摘した。
英王室の歴史家ロバート・レイシー氏は「英国はトランプ大統領にゴマをすっている」と述べ、「彼はウィンザー城に滞在し、亡き女王を参拝し、国王に会う機会がなければ英国に来なかっただろう」と語った。

一方、ロンドン中心部では数千人の市民がトランプ大統領の訪問に抗議するデモを行った。彼らはトランプ大統領を赤ん坊の姿で風刺した巨大バルーンとともに「トランプ氏は出ていけ」、「人種差別主義者」、「ファシズムと戦おう」と書かれたプラカードを掲げ、行進した。これを意識してか、英国の警察はウィンザー城周辺に鉄製のバリケードを設置し、厳重な警備を行った。
英BBCは「これまで数年間、ウィンザー城には多くの国家元首や高官の使節団が訪れてきたが、これほどの警備レベルは見たことがない」とし、「ロンドン中心部の光景はウィンザー城とは対照的だった」と伝えた。最近の英市場調査会社「イプソス」の世論調査によれば、英国民の61%が「トランプ大統領を好まない」と回答したという。
前日、ある団体は今回の国賓訪問を揶揄する意味で、トランプ大統領と性犯罪者ジェフリー・エプスタイン氏が一緒に写った写真をウィンザー城に投影した。英警察は、公開された場所で「悪意のある通信」を行ったとして関係者4名を逮捕した。このデモを企画・実行した英市民団体「レッド・バイ・ドンキーズ(led by donkeys)」は「投影に関連するデモで警察に逮捕されたのは初めてだ」と抗議した。同団体はSNS上に「トランプ氏、ウィンザー城へようこそ」という投稿とその写真を掲載した。
有力政治家も声を上げた。ロンドン市長のサディク・カーン氏は英紙ガーディアンに寄稿し、「トランプ大統領は世界中で分断的で極右的な政治を煽動している」とし、「ロンドン市民が恐怖政治を拒否することを彼に明確に示すべきだ」と主張した。さらに「彼は少数民族を犠牲にし、米国市民を不当に追放し、複数の都市に軍隊を配備している」と述べ、「これは西洋的価値観に反するだけでなく、独裁者の手法をそのまま踏襲している」と指摘した。
そして「特別な関係を築くには互いに率直でオープンな心を持たねばならない」とし、「時には批判的な友人となり、権力に真実を語り、恐怖と分断の政治を拒否することを明確に示す必要がある」と付け加えた。
英第3党、自由民主党のエド・デイヴィー党首も、チャールズ3世国王がトランプ大統領のために主催した国賓晩餐会への出席を拒否し、不満を表明した。デイヴィー党首は「私はトランプ大統領が米国的な価値観を代表しているとは思わない」とし、「彼は英米の緊密な関係を損ない、英国民に経済的な苦痛をもたらす破壊的な貿易戦争を扇動している」と批判した。さらに「彼は平和を脅かし、英国と欧州の安全保障を害している」と主張した。
また、トランプ大統領を歓迎し称賛した英国のキア・スターマー首相に対しては「政治的勇気が欠如している」とし、「私の批判はトランプ大統領よりもむしろスターマー首相に向けられたメッセージに近い」と説明した。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「自由民主党よりもさらに左派的な与党・労働党のスターマー首相でさえトランプ大統領にレッドカーペットを敷いている英国政治の現状において、デイヴィー党首は孤軍奮闘している」と伝えた。
英国の地上波公共テレビ「チャンネル4」は報道資料を発表し、「トランプ大統領の訪問期間中、彼が大統領就任以来行ってきた嘘や歪曲、フェイクニュースを英国民に示すプログラムを5時間放送する」と明らかにした。チャンネル4の最高コンテンツ責任者イアン・カッツ氏は「世界で最も強力な人物が真実を語らないとき、世界がいかに混乱し危険になるかを視聴者に気づかせたい」と強調した。
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