
ドナルド・トランプ米大統領が世界各国に課した「相互関税」の違法性を巡る訴訟が、11月5日(現地時間)に連邦最高裁で初めて審理される。最高裁はトランプ政権の要請に従い迅速審理を決定しており、米メディアは年内にも判決が出る可能性があると報じている。
最高裁が18日に公表した審理日程によると、この訴訟の争点はトランプ大統領が1977年制定の国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に広範な関税を課す権限を有するかどうかにある。下級審はIEEPAが大統領に与える輸入規制権限には関税賦課は含まれないと判断しており、米憲法が関税を含む課税権限を連邦議会に付与していることを指摘している。最高裁がこの判断を支持すれば、相互関税や、中国・カナダ・メキシコに課された同様の関税も無効となる可能性がある。
一方、現在の最高裁は9人中6人が保守派で、そのうち3人はトランプ大統領が任命した判事である。昨年7月には前大統領の公的行為に対する広範な刑事免責特権を認め、トランプ大統領関連の刑事裁判手続きを中断させるなど、保守寄りの判断が相次いでいる。トランプ大統領自身も最高裁が行政府に有利な判断を下すと自信を示している。
ただし、最高裁がIEEPAに基づく関税を違法と判断しても、トランプ大統領には他の関税手段が残されている。通商拡大法232条を根拠にした自動車や鉄鋼への品目別関税は本件とは無関係で、通商法301条・122条や関税法338条なども別の賦課手段として挙げられている。
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