
北欧のフィンランドとスウェーデンが、欧州連合(EU)に対し森林に関する気候変動対策の規制緩和を求めた。
海外メディア『ニューシス』によると、両国は過度な土地利用制限が自国経済を圧迫し、欧州全体の木材供給にも支障をきたすと警告している。
フィンランド政府が17日に発表した声明によれば、ペッテリ・オルポ首相とスウェーデンのウルフ・クリステション首相は今週初め、EUのウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長に宛てて連名の書簡を送り、懸念を伝えたという。
EUの土地利用・土地利用変化・森林に関する規則(LULUCF)は、加盟国に対し二酸化炭素排出量を上回る吸収量を確保するため、森林やその他の土地利用に厳しい規制を課している。
このため、フィンランドとスウェーデンは広大な森林を強力な炭素吸収源として維持せざるを得ない状況に置かれている。
両首相は、森林の成長速度の鈍化や樹齢の高齢化、深刻な干ばつや病害、さらには気候変動によるさまざまな問題により、森林面積の維持が極めて困難になっていると訴えた。
また、ロシアとウクライナの戦争によってロシア産木材の輸入が途絶えた国々で、北欧産木材への需要が急増しているという。
両首相は、現行のEUのLULUCF規制に従うには伐採を大幅に削減せざるを得ず、その結果、地域の雇用や輸出の縮小など、欧州全体の木材産業に深刻な影響を及ぼしかねないと警告した。
オルポ首相は、両国経済と欧州全体の木材供給が危機に直面しているとして、EUに対し一層柔軟な対応を求めた。
フィンランドとスウェーデンでは、森林・木材関連産業の雇用が20万人を超え、フィンランドの輸出額の約5分の1、スウェーデンの輸出額の1割を占めている。
LULUCF規制は、EUが今年7月に一層強化した気候変動対策の一環で、2040年までに温室効果ガス排出量を90%削減することを目標としている。
この規制は森林を含む土地利用のあり方と深く結びついており、もしフィンランドとスウェーデンの森林保全政策が緩和されれば、目標達成に支障が生じる可能性がある。
オルポ首相はこの点を踏まえたうえで、両国が求める森林利用制限の緩和は欧州の2040年炭素削減目標を妨げるものではなく、むしろ目標達成に伴う不確実性を取り除き、コスト削減や技術維持を可能にする補完策だと強調した。
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