
米トランプ政権が専門職向け「H-1B」ビザの手数料を大幅に引き上げる中、各国政府は米国が見逃した「人材獲得競争」に乗り出している。
ロイター通信は22日(現地時間)、米国のドナルド・トランプ大統領がH-1Bビザの手数料を1,000ドル(約14万7,889円)の10倍となる10万ドル(約1,478万8,949円)に引き上げる内容の大統領令に署名した後の各国政府の動きを報じた。
ロイター通信はフィナンシャル・タイムズ(FT)を引用し、英国政府ではキア・スターマー首相が主導して、科学者、研究者、デジタル専門家など海外の高度人材に対するビザ手数料の完全撤廃を検討していると伝えた。
また中国は、科学・技術・工学・数学分野の人材を誘致するための新たなビザ制度を導入する予定だという。このビザ所持者は、就職先や研究職を事前に確保していなくても中国に入国し、学び、働くことができる。
ドイツのデジタル産業団体「ビットコム(Bitkom)」の代表、ベルンハルト・ローレダー氏(Bernhard Rohleder)も、「米国の新政策はドイツと欧州にとって最高の人材を引き付ける機会になり得る」と述べた。
ロイター通信は大韓商工会議所の6月の報告書を引用し、韓国政府の対応も詳しく報じた。昨年、韓国では人口1万人当たり0.36人の人工知能(AI)専門家が純流出したという。これは経済協力開発機構(OECD)のAI人材の流出入ランキングで下位に位置する。
これを受け、韓国のカン・フンシク大統領秘書室長は米国の政策変更を活用し、海外の科学者や工学者を誘致する方策を見出すよう各省庁に指示したという。
カン室長は22日の首席補佐官会議で、米政府のビザ手数料引き上げに関連して「グローバルな理工系人材の国内誘致の機会として活用できる」と述べ、「韓国政府は技術主導の超革新経済の実現に向け、AI大転換などに来年度予算を集中的に投入する計画だ」と強調した。
ロイター通信は、多くの国が米国の厳格化する移民政策を好機と捉え、外国人科学者や工学者を引き付け、自国産業を発展させ、人材流出の流れを「逆転」させようとしていると分析した。
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