ロシア資産が預託されたベルギー、EU「ウクライナ無利子融資」に反対
首相「プーチンの資金を使い、リスクをベルギーが背負うことはない」

ベルギー政府が、凍結中のロシア中央銀行資産を活用してウクライナ向け無利子融資を実施するという欧州連合(EU)の構想に反対の立場を示した。
ユーロアクティブによると、ベルギーのバルト・デ・ウェーバー首相は27日(現地時間)、「ロシア・プーチン大統領の資金を使って、そのリスクをベルギーが引き受けるような事態は決して起きない」と強調した。
ウェーバー首相はさらに「欧州の政治家の判断次第で(EUに預けられた)中央銀行資産が消失する可能性を各国が認識すれば、その国々はユーロ圏から預託金を引き揚げることになりかねない」と懸念を示した。
ウェーバー首相の発言は、25日にドイツのフリードリヒ・メルツ首相が欧州委員会の構想を公に支持したことを受けて出たものとみられる。
欧州委員会は「賠償金融資」と呼ばれる新たな支援策を検討しており、ロシア資産の元本を没収せず、法的に問題のない範囲で活用することを狙っている。構想では、ベルギーの中央証券保管機関「ユーロクリア」に凍結されているロシア資産約2,000億ユーロ(約34兆9,325億2,400万円)のうち、投資満期を迎えて現金化された約1,400億ユーロ(約24兆4,527億6,700万円)を欧州委員会が0%金利で借り入れるという。
欧州委員会は調達した資金はウクライナに無利子融資として提供し、返済はロシアが戦後にウクライナに支払う戦争賠償金で行うという仕組みだ。借入対象となる資産の保証は27加盟国が共同で負担する案が提示されている。
これにより、元本を没収せずに資金を活用でき、ウクライナの債務負担も増えないと欧州委員会は説明している。
ベルギーは人口規模が小さいためEUの意思決定に直接的な影響力は大きくないが、ユーロクリアを本拠地に持つことから、今後のEU協議過程で重要な当事国になるとみられる。
ベルギー政府関係者はウェーバー首相の発言について「欧州委員会の計画そのものに全面的に反対するものではなく、合意に至る前に詳細を精査する必要があるという意味だ」と説明し、強硬姿勢をやや和らげた。
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