
北朝鮮で違法に豊胸手術を受けた20代の女性2人が、数百人の住民を前に公開裁判にかけられ、強制的に身体検査まで受けさせられていたことが分かった。
北朝鮮専門メディア『デイリーNK』によると、黄海北道の情報筋は、9月中旬に沙里院市の文化会館で違法豊胸手術事件の公開裁判が行われたと明らかにした。
裁判には、手術を行った男性と手術を受けた20代の女性2人が出廷。会場には、使用された手術器具や中国から持ち込まれたシリコン、現金の束などが証拠品として並べられたという。
手術を行ったのは医科大学で外科を専攻していたものの中退した人物で、一般家庭を利用して違法手術を続けていたことが判明した。男性は終始うつむいたままで、女性たちも恥ずかしさから顔を上げられずに証言。「体型を整えたくて手術を受けた」と打ち明けたという。
検察側は「社会主義体制の下で暮らす女たちがブルジョア的風潮に染まり、腐敗した資本主義的行為に手を染めた」と強く非難。裁判官も「虚栄心に囚われ、組織と集団を蝕む毒草となった」として厳罰を言い渡す方針を示した。
さらに裁判所は、手術の有無を確認する名目で、住民の目の前で公開の身体検査を実施。市の安全部は今回の事件を受け、整形手術が疑われる女性を対象に集中的な検診を行う方針を明らかにした。体型の変化が著しい女性を摘発し、病院での検査を通じて手術の有無を確認するという。
会場に集まった住民からは「金のために医者が何でもするのか」といった非難の声が上がる一方で、「生活が成り立たず、こうしたことに手を染めたのだろう」と同情する声も聞かれたと情報筋は伝えている。
一方、最近平壌などの都市部では20~30代の女性の間でボリュームのある体型を求める風潮が広がり、豊胸手術が密かに流行している。しかし、副作用による事故が相次いだため、当局は7月から取り締まりを強化してきた。北朝鮮は豊胸手術を「非社会主義的行為」と定め、正規の医療機関では施術を受けられない状況だという。
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