
米国が「100%関税」で中国に反撃した後、米国のドナルド・トランプ大統領が相次いで融和的メッセージを発信していることについて、今回も「TACO(Trump always chickens out・トランプ大統領はいつも尻込みして退く)」と揶揄されている。両国の第一次貿易戦争での「学習効果」により、中国が米国の思惑通りに動かないという分析も出ている。
トランプ大統領は、中国がレアアースの輸出規制範囲を拡大したことを受け、12日(現地時間)に中国製品に100%の関税を課すという強硬策を打ち出した。これに対し中国商務部は即座に「脅威を実行に移せば、正当な権益を守るための相応の措置を講じる」と警告した。
その後、トランプ大統領はSNS投稿や記者会見を通じ、立て続けに融和的なメッセージを中国に送った。彼は「中国を心配するな、すべてうまくいく!非常に尊敬される中国の習近平国家主席は一時的な困難を経験しただけだ」と投稿し、「私は習主席と良好な関係にある。彼は非常に強く、非常に賢明だ。中国の素晴らしい指導者だ」と習主席を持ち上げた。
強硬策直後に続く融和メッセージについて、今回も「TACO」との評価が出ている。TACOとは、トランプ大統領が最初は強硬な政策を打ち出すものの、反発を受けると尻尾を巻く様子を揶揄する表現だ。サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、ある元米国高官の言葉を引用し「Mega Taco」と評した。この高官は「習主席はこれ(TACO)を見抜くだろう。これは切迫感ではないにせよ、明らかな弱さと決意不足のサインだ」と述べた。
米国が強硬策の後、トランプ大統領を通じて「交渉可能」のメッセージを発したことの効果についても意見が分かれている。中国が米国の期待通りに動かないという見方が優勢だ。ワイリー・レイン法律事務所の貿易弁護士であるナザク・ニカフター氏は、中国が4月の第一次貿易戦争から学んだため、譲歩する可能性は低いと主張した。4月、トランプ大統領が中国に145%の関税を課した後、米国市場が下落するのを目の当たりにしたからである。
トランプ政権1期目で商務省高官を務めたニカフター氏は「今回、中国は脅しに屈しないだろう。習主席は我々(米国)の市場下落を見て、米国が自らの足を撃っていると判断するだろう」と語った。
独立系コンサルティング会社フートン・リサーチの北京駐在創立パートナー、フェン・チュチェン氏は、中国政府が「次の会談を受動的に待つのではなく、交渉再開を強制するためにまず緊張を高める」という戦略を再び活性化していると分析した。これは4月に米国が関税を賦課した後に用いた戦略と類似していると付け加えた。
一方、中国人民大学の王文(Wang Wen)学長は、新たな緊張が交渉を通じて解決されるだろうと予測した。王文学長は「中国の対抗措置は有効で、最終的に米国を交渉テーブルに戻すだろう」と語り、「中国は米国の『紙虎』のような行動に慣れている」と述べた。
米国が第二次貿易戦争に踏み切ったのは、共和党内の保護貿易派や対中強硬派の立場が強く反映された措置である。しかし、感謝祭やクリスマスシーズンに米国内の消費者被害が拡大する可能性があり、さらに交渉には中国の米国産大豆購入問題がかかっているため、米国も相当な打撃を被る状況だ。「TACO」論争を引き起こしたトランプ大統領の融和メッセージは、こうした事情を反映したものと分析される。
ドイツ・メルカトル中国研究所(MERICS)の上級研究員であるシェ・ヤンメイ氏(Yanmei Xie)は、貿易では米国が優位に立ち、両国とも相手の輸出規制にさらされているが、企業部門だけを見れば中国が優位に立つ可能性があると分析した。彼女は「中国で生産する米企業がその逆よりもはるかに多く、特にアップルやテスラのような一部企業は、米国ビジネス界の至宝とも言える存在だ」と指摘した。
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