
ドナルド・トランプ米大統領は、シカゴなどの民主党系大都市に対する取り締まりを一層厳格化するとともに、予算圧迫策も強化しており、政治的緊張が高まっている。
10月14日(現地時間)、『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』によれば、米国移民税関捜査局(ICE)はシカゴ南東部で大規模な移民取り締まりを実施し、地域住民との衝突が発生した。住民は「ICEは出て行け」と抗議し、物を投げつける中、職員は催涙ガスと煙幕弾を用いて群衆を解散させた。
シカゴ市警は、連邦職員が事前協議なしに強硬手段に出たため現場が混乱したと抗議。一方、国土安全保障省(DHS)は「逃走車両がICE職員の車両に衝突するなど、暴力的抵抗があった」と説明し、「群衆制御のために催涙ガスを使用した」と述べた。
ICEの取り締まり強化に対し、地域住民は自主的な監視ネットワークを構築し、職員の出没情報をリアルタイムで共有している。クラクションやホイッスルで取り締まり発生を知らせる中、トランプ政権は情報共有のSNSアカウント削除で対応している。
さらに、メキシコの犯罪組織による報復の動きも確認された。FOXニュースはDHS情報として、「メキシコギャングがICE職員とその家族の個人情報の暴露や暗殺に対し、最大5万ドル(約762万2,563円)の懸賞金を提供する計画」と報じた。DHSによると、シカゴ南西部の一部地域ではギャングが屋上に武装要員を配置しているという。ギャング「ラテン・キングス」の首領は高官暗殺未遂の疑いで逮捕された。DHSは「トランプ大統領とノーム長官の指揮下で、すべての不法滞在者と犯罪者は法の裁きを受ける」と強硬な取り締まり姿勢を示した。

また、トランプ大統領は政府機関の一時閉鎖を契機に、民主党優勢地域への予算支援を大幅に凍結した。NYTによれば、閉鎖後2週間以内に、民主党地域で計200以上のプロジェクト(総額272億4,000万ドル)が凍結・中止された。
影響が最も大きいのはニューヨーク、シカゴ、カリフォルニアで、交通インフラ改善、クリーンエネルギー投資、電力網更新などが中断された。例えば、ニューヨークのハドソン川トンネルや地下鉄改善に充当される予定だった180億ドルの支援金が凍結された。
政界では、トランプ大統領が移民取り締まり強化、ギャング対策、予算凍結を組み合わせた「三重圧力戦略」で民主党拠点を狙っているとの見方がある。イリノイ州のプリツカー知事は、トランプ政権による軍投入を阻止するため提訴しており、裁判所は州兵のシカゴ派遣に歯止めをかけている。
しかしトランプ大統領は「必要なら内乱法の発動も辞さない」と述べ、国内での軍動員の可能性を示唆しており、米国全土でさらなる緊張の高まりが予想される。
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