
中国が韓国と日本に対し、3か国間の通貨スワップ締結を提案した。これは米中貿易戦争が激化する中で、中国が地域金融の結束強化と人民元使用の拡大を図ろうとする動きである。
香港紙のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によれば、中国人民銀行(PBOC)の潘功勝総裁は15日、ワシントンD.C.で開催された国際通貨基金(IMF)・世界銀行(WB)の年次総会期間中に韓国銀行のイ・チャンヨン総裁および日本銀行の植田和男総裁と会い、この問題に言及したという。
その後、人民銀行はオンライン声明において、3か国の総裁が最近の経済・金融動向について「意見を交換した」と述べたが、通貨スワップには直接触れなかった。しかし、SCMPは事情に詳しい関係者の話として、「中国側はしばらく議論を重ね、3か国の協力を推進してきた」と伝えた。
日中韓通貨スワップに関する追加議論は、26日(現地時間)に開幕する東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議および31日に開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の期間中に展開される可能性がある。別の関係者によれば、通貨スワップの議論は進行中であるものの、最終的には3か国間の個別の「二国間協定」として締結される可能性が最も高いという。
通貨スワップは、各中央銀行間で現地通貨の流動性を供給するために頻繁に用いられる手段であり、多国間機関による救済金融に加え、債務危機時の金融支援にも活用される。韓国と中国間では、5年満期の4,000億元(約8兆5,203億円)規模の通貨スワップが今月満了した。
日本と中国は2024年10月に、3年満期の2,000億元(約4兆2,601億円)規模の二国間スワップを締結している。さらに、日本と韓国間の通貨スワップは、2023年12月に100億ドル(約1兆5,181億円)規模、3年満期で復活している。
このような中国の提案は、米国との貿易紛争が一層激化する中、地域金融の交流を強化して経済の安定性を確保し、人民元の影響力を高めるための戦略と見られる。なお、韓国は昨年度の貿易額において中国に次ぐ4番目の貿易相手国であり、日本と中国の貿易規模は中国内で6番目である。
潘総裁は先週、国際通貨金融委員会(IMFC)に提出した声明において、「貿易緊張が世界金融の安定を脅かしている」と述べ、また「世界金融安全網を強化する『緊急な必要』がある」と訴えた。
中国は、グローバルな通貨スワップ網を拡大し、人民元の影響力を高めるとともに、ドルに対抗する取り組みも積極的に進めている。先月末時点で、世界32の中央銀行と総額4兆5,000億元(約95兆8,531億円)規模の通貨スワップを締結している。
中国人民銀行・マクロプルーデンス管理局の関係者は先週、中央銀行系新聞「金融時報」とのインタビューで、「今後、中央銀行は通貨スワップ協力の範囲を体系的に拡大し、特に中国と経済・貿易関係が密接な国や地域との協力を深めることに重点を置く」と述べ、さらに「スワップ資金を効果的に活用し、流動性の供給を増やして貿易・投資の利便性を向上させる」と語った。
コメント0