
中国軍が南シナ海上空に進入したオーストラリアの海上哨戒機を追い出し、両国間の軍事的緊張が一時高まったと、AFP通信や新華社などが21日に報じた。
報道によると、南部戦区空軍報道官の李健健氏は前日の声明で「オーストラリアの海上哨戒機が19日、中国の領空に無断で進入したとして、海軍・空軍の部隊を編成して追跡・監視を行い、警告放送や牽制行動を実施し、退去させた」と述べた。
リ氏は、オーストラリア空軍所属のP-8A哨戒機が中国政府の許可を得ずにに西沙諸島上空、すなわち自国の領空に「不法侵入」したと非難した。
また、「オーストラリア側の行為は中国の主権を深刻に侵害し、海上・空中での偶発的衝突のリスクを高めた」とし、「オーストラリアは直ちに挑発と侵害を中止すべきだ」と警告した。
さらに、「中国軍南部戦区部隊は常に高い警戒態勢を維持しており、国家の主権と安全、さらには地域の平和と安定を断固として守る」と強調した。
これに対し、オーストラリア政府は中国側の対応を強く非難した。オーストラリア国防省は声明で「中国の戦闘機がオーストラリア軍のP-8A哨戒機に接近飛行し、照明弾を発射した」と述べ、「これは乗組員の安全を深刻に脅かす行為であり、安全性に欠け非専門的だ」と反発した。
国防省によると、哨戒機は南シナ海の上空で定期的な監視任務を実施していた際に中国戦闘機の急接近を受けたが、照明弾による人的被害や機体の損傷はなかったという。
リチャード・マールズ国防相は放送インタビューで「十分に検討した結果、中国軍の対応は安全性も専門性も欠いていた」とし、「中国側には外交ルートを通じて正式に抗議した」と述べた。
マールズ国防相は、中国軍の妨害にもかかわらず「オーストラリアは南シナ海における『航行の自由』の原則を引き続き守っていく」と明言した。
中国は南シナ海のほとんどの水域に対して主権を主張している。2016年、フィリピンの提訴により常設仲裁裁判所が中国の歴史的権利の主張を退ける判決を下したが、中国はこれを受け入れていない。
中国外務省(外交部)は定例記者会見で、中国の戦闘機による接近及び照明弾投下に関する質問に対し「関連状況については把握していない」と即答を回避した。
両国間における南シナ海を巡る軍事的緊張は、2022年のオーストラリア哨戒機と中国戦闘機間の「接近衝突」以降、何度も高まっている。
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