
米政府の一部機能が停止する「シャットダウン」が長期化する中、米政府の負債が史上初めて38兆ドル(約5,812兆3,165億円)を超えたことが明らかになった。米トランプ政権2期目発足以降、政府支出の縮小と関税収入の拡大に取り組んでいるものの、米国の財政健全性は依然として悪化しており、「過去最大級」の負債増加傾向が懸念されている。
23日、米財務省によれば、21日現在の米政府の総負債は38兆198億ドル(約5,815兆975億円)に達しているという。8月に37兆ドル(約5,659兆1,199億円)を突破してからわずか2か月で、負債が1兆ドル(約152兆9,492億円)増加した。AP通信は「今回の負債増加のペースは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時期を除けば、米国史上最速」と評価している。
米国は、収入を下回る慢性的な財政赤字構造を維持している。社会保障、医療保険(メディケア)、国防費などの支出が持続的に増加する中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以降の景気刺激策も実施され、負債負担が急激に拡大している。長期間の高金利環境下、利子負担も急増し、年間利子支出だけで1兆ドルを超えている。
専門家たちは深刻な懸念を示している。世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」の創設者であるレイ・ダリオ氏は、急増する米国の国家負債が「経済的な心臓発作」を引き起こす可能性があると警告している。
ジョージ・W・ブッシュ前政権時代に財務省で勤務していたケント・スメッターズ教授(ペンシルベニア大学ウォートン・スクール)は「政府の負債が長期的に増加すれば、最終的にはインフレが上昇し、国民の購買力が蝕まれることになる」と指摘している。
しかし、トランプ政権は支出削減と歳入拡大により財政赤字が減少していると反論している。フィナンシャル・タイムズ(FT)によれば、米財務省はトランプ政権2期目最初の四半期(今年4~6月)の米政府支出増加率が前年同期比0.2%に留まったと分析しており、直前の4四半期(7.1~28.5%)に比べ大幅な鈍化が見られたと説明しているという。さらに、7~9月の四半期支出は前年同期比2.5%減少した。
また、財務省は、関税政策により今年3,000億ドル(約45兆8,987億円)、来年4,000億ドル(約61兆1,983億円)の歳入が追加で確保されると見込んでいる。これにより、国内総生産(GDP)に対する財政赤字を約6%から3%台に引き下げることを目指している。
スコット・ベッセント米財務長官顧問のジョー・ラボルグナ氏は「今年の財政赤字改善のかなりの部分が4月以降に実現されたという事実は、特にトランプ政権が関税政策で迅速に成果を上げている点を示している」と主張している。
ただし、こうした期待が過度であるとする批判もある。FTは「国際通貨基金(IMF)は、現状の米国が財政赤字を減少させることはできないと見ており、ジョー・バイデン前政権とトランプ政権の両方による過度な負債拡大政策のため、米国の財政赤字は先進国の中で最も大きい幅で維持されると診断している」と述べている。














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