プーチン大統領、ウクライナ東部の要衝2都市を包囲と主張

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は29日(現地時間)、ロシア軍がウクライナ東部の要衝2都市を包囲したと主張し、ウクライナ軍に対し降伏交渉を提案した。
しかし、ウクライナ側はこれを強く否定している。
プーチン大統領はこの日、モスクワ市内の軍病院を訪れ、負傷兵と面会した際に、ウクライナ・ドネツク州の重要拠点ポクロウスクと、北東部ハルキウ州の鉄道要衝クピャンスクを包囲したと発言した。
また、ロシア軍がウクライナ軍および西側メディアのために安全な通路を開放し、「現地の状況を直接確認できるようにする準備がある」と述べた。
2022年2月末にウクライナへ侵攻したロシア軍は、最近になって約1,000キロに及ぶ前線で兵力と火力の優位を背景に攻勢を強めている。
一方、ウクライナ軍はロシアの「クピャンスク包囲」発言を「完全な虚偽と幻想」として一蹴した。
ウクライナ東部軍のフリホリー・シャポワル報道官は、ポクロウスクの情勢について「厳しいが、依然として制御可能な範囲だ」とAP通信に語った。
ポクロウスクを防衛するウクライナ軍第7即応軍団は、ロシアが市の包囲を狙い約1万1,000人の兵力を投入していると説明し、さらに一部のロシア兵が市街地に侵入した事実をSNS上で認めた。
ただ、過去にもロシア政府はウクライナの要衝を「制圧した」と発表しながら、後に事実ではなかった例が少なくない。今回の主張も独立した形では確認されていない。
プーチン大統領の発言は、アメリカに対して「ウクライナ支援は無意味だ」と印象づけ、和平交渉を促そうとする外交的メッセージの一環とみられる。
大統領は同時に、ロシアの核戦力強化を強調し、戦争目標での譲歩はないとの姿勢を明確にした。
また、ポクロウスクとクピャンスクに駐留するウクライナ軍との間で「降伏交渉の余地がある」と述べ、報道関係者の現地入りを通じて「包囲下にあるウクライナ軍の実情を明らかにし、ウクライナ政府が自国民の運命を判断できるようにする」と語った。
ウクライナおよびロシアの戦況ブロガーらによれば、両都市では小規模な市街戦が続き、道路や交通網を狙った砲撃やドローン攻撃も相次いでいるという。
米ワシントンの民間研究機関「戦争研究所(ISW)」は、ロシア軍がポクロウスク方面で前進したものの「市街地の支配には至っていない」と指摘し、「ウクライナ軍が同地域で崩壊する可能性は低い」と分析した。
クピャンスクの状況についても、ウクライナ統合軍のヴィクトル・トレフボフ報道官は「プーチンの主張と実際の状況は一致しない。包囲の事実はない」と否定した。
ロシア軍は昨年末からポクロウスク制圧を試みており、ウクライナ側は軍需拠点としての使用を停止し、防衛体制を強化している。かつて約6万人が暮らしていたポクロウスクは、現在ほぼ廃墟と化している。
一方、ウクライナ軍はロシア後方地域を標的に、長距離ドローンやミサイル攻撃を継続。精油施設や製造拠点を狙い、物流網の混乱を図っている。
ロシア国防省は、夜間に5地域でウクライナのドローン100機を撃墜したと発表。モスクワ近郊の3空港を含む13空港が一時的に運航を停止したという。
さらにロシアは少なくとも6地域でウクライナの送電網や民間インフラを攻撃し、13人が負傷した。負傷者の中には9歳の子どもも含まれている。
ウクライナ空軍によると、今回の攻撃でロシアは攻撃用・攪乱用を含む計126機のドローンを発射したという。

















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