
ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が30日午前11時ごろ、韓国・釜山で再会する。
世界経済の二大軸であり、「関税戦争」の当事者でもある両首脳は、慶州で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の機会を捉え、貿易・技術・安全保障を網羅する重要な二国間協議に臨む。
再選後、関税の刃を再び振りかざしたトランプ大統領と、これに対抗して希土類カードを握る習近平主席の正面衝突が交渉局面に転換されるか、世界中の注目が集まっている。
関税と希土類の「相互取引」へ歩み寄り
今回の会談の焦点は、米中貿易摩擦の緩和にある。トランプ大統領は再選後、関税と技術統制を前面に押し出して中国を厳しく圧迫し、習近平主席はこれに報復関税で対抗した。
攻撃と反撃の悪循環の中で、今年4月には米国の対中平均関税率が145%、中国の対米関税率が125%にまで跳ね上がり、世界金融市場は不確実性に揺れた。
両国は5月の高官協議で、報復関税を一時的に停止する「休戦」に合意。現在は、米国の対中関税を50%(フェンタニル関税20%を含む)、中国の対米関税を10%に維持している。今回の首脳会談では、関税率の引き下げや輸出規制の緩和など、実務レベルの最終合意を確認する見通しだ。
スコット・ベッセント米財務長官は26日(現地時間)、両国が「貿易和解の枠組みを完成させた」と明らかにした。
中心となるのは、中国が希土類の輸出規制を1年間猶予し、米国が11月1日に予定していた100%の追加関税を中止するという内容だ。
希土類はスマートフォンや太陽光パネル・武器など電子製品に不可欠な鉱物で、世界の加工量の90%を中国が占める。今回の猶予措置で供給網の緊張は一旦緩和される見込みだ。
トランプ大統領は麻薬性鎮痛剤フェンタニルの輸出問題に関連して中国に課している関税を引き下げる意向も示した。
中国がフェンタニル規制を強化し、米国産大豆の輸入を拡大することを条件に、関税率を20%から10%へ引き下げる案が浮上しているという。
フェンタニル関税が下がれば、アメリカの対中国平均関税率は50%から40%に低下する。これは中国が迂回輸出拠点として活用してきた東南アジア諸国と同じ水準だ。
技術統制やTikTok問題も協議へ
中国側は、米国産ソフトウェアを利用した製品への輸出規制など、トランプ政権が進めてきた技術統制政策の凍結を求めている。
しかし、米国が再び技術移転を容認するかどうかは不透明だ。
両国の技術覇権競争が依然として未解決の対立として残る理由だ。
世界的影響力を持つ中国のソーシャルメディアTikTokを巡る議論も今回の会談の主要議題だ。トランプ政権はTikTokを国家安全保障の脅威と見なし、米国内事業の買収やアルゴリズム統制を進めてきた。
両国は相手国の造船業界に課している高額な入港手数料の同時撤廃についても協議する方向で調整している。
専門家の間では、今回の会談が両国関係の「不満足な縫合」にとどまる可能性が高いと見ている。ダニエル・バイハー前米国通商代表部(USTR)補佐官は「貿易休戦は、次の戦いに備えるための時間にすぎない」と診断した。米国は中国依存を脱する新たな希土類サプライチェーンの構築を進め、中国は米国抜きの半導体エコシステムを整備しようとしている。
それでも、両国が高関税と輸出規制の応酬を一時停止するだけでも、世界経済にとっては明確な緩和シグナルとなる。
米中間には、貿易戦争や技術競争に加え、北朝鮮の核開発、台湾海峡の緊張、南シナ海の領有権問題など、地政学的課題が山積している。
しかし、今回の会談では安全保障問題よりも、貿易交渉が主な議題になる見通しだ。
中国は超大国との交渉で譲歩しないイメージを強調し、対内外的に「強大国中国」を印象付けようとする戦略のようだ。トランプ大統領と習主席の対面はトランプ2期政権発足後初めてであり、2019年6月の日本大阪での主要20カ国・地域(G20)首脳会議以来6年4カ月ぶりとなる。
 
            


















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