
米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』は30日(現地時間)、米中首脳会談について、習近平中国国家主席がドナルド・トランプ米大統領に対し、勝利を宣言する根拠を示すことよりも、むしろ米国を屈服させうる強力な指導者としての威厳を誇示したと報じた。
同紙は、会談の結果を分析した記事で、習主席が希土類(レアアース)の独占や米国産大豆の購買力をてこに、米国から核心的な譲歩を引き出したと評価した。
また、中国政府が発表した会談要約を引用し、習主席が講義をするような口調で「最近の紆余曲折は双方にとって教訓となるべきだ。双方はより大きな視野で物事を見て、相互報復の悪循環に陥るのではなく、協力による長期的な利益に注力すべきだ」とトランプ氏に語ったと伝えている。
NYTは、習主席が言及した紆余曲折とは、米中両国が貿易戦争を繰り広げる中で互いに攻撃的な措置を取り合った経緯を指すものだと分析した。さらに同紙は、習主席が「中国には反撃する力があることをすでに証明した。米国はこの事実を忘れてはならない」というメッセージを送ったと指摘している。
これに関連して、南京大学の朱鋒(シュ・ホウ)教授は、「トランプ氏が貿易・関税戦争を仕掛けた際、それに真正面から対抗した唯一の国は中国だった」と述べ、中国側の視点から今回の会談の最大の成果は「米国が今後、中国に新たな制裁を加える際には慎重に判断するようになった可能性がある点だ」と分析した。
さらにNYTは、習近平国家主席が、トランプ大統領が米国内で「勝利」と呼べる成果を必要としていることを理解していたようだと指摘。中国が大豆の購入を再開し、レアアースの輸出制限を保留したのは、そのための措置だと報じた。ただし、これらは実際には以前の状態をほぼそのまま回復したにすぎないとも分析している。
一方で、一部の専門家は、トランプ政権が明確な戦略目標を持たずに行動していたため、中国が自然と優位に立つ結果になったと評価している。
米ブルッキングス研究所のジョナサン・チン研究員は「米政府のアプローチは、戦略なき戦術に過ぎない」とし、「中国側はトランプ政権を相手に『モグラ叩き』のようなゲームを巧みに進めている」と述べた。
NYTは、中国政府が発表した会談要約に台湾への言及がなかった点について、中国側が譲歩した部分とみられると指摘した。
また、今回の米中首脳会談によって両国の対立は一時的に緩和する見通しだが、いずれか一方が合意に反すると受け取られる行動を取れば、その成果は容易に失われる可能性があると分析している。
 
            


















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